岩手県医療局 4月無床化変更せず 計画最終案 反発必死岩手県医療局は9日までに、6カ所の県立病院・地域診療センターの無床化を含む「新しい経営計画」の最終案をまとめた。住民が求める無床化撤回や実施先延ばしは行わず、当初案通り4月から無床化を進める内容。医療局は10日、県議会に説明するが、反発を招くのは必至で、19日開会の県議会2月定例会最大の争点になるとみられる。最終案は花泉(一関市)、住田、大迫(花巻市)、紫波、九戸の五診療センターと沼宮内病院を無床診療所にする内容。県議会の議決が不要な五診療センターは4月から、条例改正が必要な沼宮内病院は12月定例会での議決を経て、2010年4月に始める。17日にある県の医療制度改革推進本部会議に最終案を報告し、正式決定する。 医療局は入院ベッドの維持や無床化実施の先延ばしは「医師の負担が大きく、医師不足を加速させる」と判断。無床化対象を一部にとどめることも「地域を選別することになる」と一律実施を決めた。 当初案からの変更は「転院先の確保」「転院を余儀なくされる患者と家族の足の確保」などを盛り込む程度。無床化などに伴う空き病床の介護施設などへの活用では「(賃貸料減免など)支援策を講じる」と明記する。 無床化をめぐっては、対象の6市町村の住民らが強く反発。9日にも住民団体でつくる「県地域医療を守る住民組織連絡会」が県と医療局に計画凍結を求める要請書を提出した。 住民の要請に対し、医療局病院改革室の根子忠美経営改革監は「最終案は10日に県議会に説明する。内容についての発言は差し控えたい」と言うにとどまった。 ◎地域医療市民が守る 釜石病院の支援組織発足 地域医療を守るため、無駄な診療を減らし、厳しい医療環境への理解を深めようと、釜石市民有志が岩手県立釜石病院の支援組織を立ち上げた。育児サークルや市母子保健推進員など160人による「病院サポーターズ」。今後は市民対象の勉強会や医師との交流会を開催するほか、パンフレット配布などの啓発活動を行う。 県立釜石病院は現在、27人の勤務医が在籍するが、呼吸器科と産婦人科は不在で消化器科の医師は1人だけ。診療科の偏在や勤務医の過重労働が指摘されている。 県の統計によると、2006年度の釜石市民1人当たりの医療費(国民健康保険加入者のみ)は42万2000円で、県内13市のうち盛岡に次ぎ高額となっている。 サポーターズのメンバーは9日、釜石病院を訪問し組織の立ち上げを報告。代表の主婦菊池美和さん(37)は、軽症患者が夜間救急を利用する「コンビニ受診」などを踏まえ、「医療現場への負担がこのまま続き、医師に辞められては困る。健康づくりなどを呼び掛けながら、市民自らが地域医療を守る意識を醸成したい」と話した。
2009年02月10日火曜日
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