お嬢様、お坊ちゃま、十一月でございます。草摩でございます。
幾分涼しくなろうとも心は燃えている草摩でございます。
しかし夜は本当に寒くなりました。
どうぞ暖かくしてお過ごしくださいませ。
さて、先日フットマン数人と共にある場所へと出かけてまいりました。
本日はその時のことでも。
伽地「やぁ、おはよう草摩ちゃん。さっそくなんだけど今日ちょっと付き合ってよ!」
草摩「あ、はい。いいですけど何処に行くのですか?」
伽地「実は最近スワロ闘技場のプロレスが大盛り上がりなんだってさ。なんでも獲得賞金で全国の孤児に食料とかを与えているレスラーがいるんだってさ」
草摩「すごいですね。このご時勢にそんな足長おじさん的な方がいらっしゃるとは。確かに見てみたいですね」
伽地「だろう? だからこれからちょっと見に行ってみようよ」
鳴滝「あ、私も一緒に行きたいです。連れていって下さいよ」
辰生「せっかくなんで私も!」
「ならば余も参ろうかの」
そこには動物の毛皮のようなものを首に巻いた世良の姿が。右手には葉巻、左手には金色の腕時計を巻いております。
伽地「あ、最近キャラの変わった世良君じゃないか」
草摩「朝バナナダイエットのお陰で経営しているバナナセラ園が繁盛したんだって?」
鳴滝「母国ベネズエラに豪邸を建てて家族がうっはうはらしいですよ。やりますねアントニオ」
世良「いえいえいえ。全然たいしたことないんですよ。あははははは」
辰生「とりあえず葉巻は似合ってないんじゃないかな…」
世良「甘いですね辰生さん。これは葉巻の形をしたチョコレートですよ!甘いですね二重の意味で」
草摩「あー、はいはい。いいから早く準備しないと置いてくぞ」
世良「え!あ、ちょ、ちょっと待ってくださいよ草摩さーん!」
出発致しました。最速で。
数十分後スワロ闘技場に無事到着し中に入ってみるとそれはもう凄い熱気でございました。
伽地「いやー凄い盛り上がりだね。ちょうど噂のレスラーが試合をしてるみたいだよ」
辰生「あ、ホントだ。覆面レスラーなんですね」
鳴滝「見てくださいよ。熊ですよ熊。熊仮面のレスラーですよ」
世良「ちょ…ゴホァ! げほっげほっ!! はぁはぁ…ど、どれでずが?」
草摩「なんでそんなに息切れしてるんですか?年ですか?」
世良「み、みんなが置いていくからじゃないですか!一生懸命走ってきましたよ!」
伽地「野生の力でチーターみたく走りなさいよ」
世良「無理言わないで下さい!」
鳴滝「あ、試合決まりそうですよ!!!」
???「HAッ!HAッ!HAーーーッ!鍛え抜かれたこの肉体に敵うものなどありはしないわ。このお馬鹿様がっっ!!!」
相手「ご、ごっつぁんです!!」
めきめきっ!っと鈍い音が鳴り響き、相手選手が泡を吹いて倒れました。
カンカンカンカン!! 試合終了ーーー!!!!
辰生「すごい、あれアルゼンチンバックブリーカーですよね? 痛そうだなぁ」
鳴滝「あんなのされたら普通ギブアップしますよね。凄かったです」
草摩「あ、熊レスラーインタビューとかしないですぐ帰っちゃいましたよ」
伽地「よし、みんなで追いかけよう。サインくらいもらって帰ろうじゃないか!」
我々も急いでその場を後に致しました。
会場内になんとなく見覚えのある方がいらっしゃったような気が致しましたが気のせいでございましょう。
小山内「キリンさんじゃなくてくまさんだった。残念…」
—————————————五分後————————————————–
世良「あ、いましたよ。関係者入り口のところです」
伽地「見てよみんな。集まってる子供達にお菓子を配ってるじゃないか」
鳴滝「すごい。本当に子供達のヒーローみたいですね」
遠矢「わーい!ありがとう!!」
草摩「一番手前にいる小学生見たことある気がするんですが気のせいでしょうか?」
辰生「に、似てる人なんじゃないかな。遠矢君は今頃大旦那様の買い物の途中のはずだし…」
そんな我々を見つけた熊仮面(仮名)が近づいてまいりました。
熊仮面「やあ、試合を見に来てくれたベイビー達。君達にもお菓子をあげようじゃないか」
伽地「やったー、こんな私達にもお菓子をくれるんですね。ベアーファイター」
鳴滝「嬉しいです、仮面の熊さん」
草摩「ありがとう、熊五郎」
熊仮面「ノンノンノン。私の名前を知らないのかい?ならば名乗ろう。私の名前はベアー・ザ・ローズだ!」
草摩「酷いネーミングセンスですね。英語知ってますか?」
世良「スペイン語(ベネズエラの公用語)でよければ教えますよ」
伽地「子供達の夢を壊さないでほしいなぁ」
鳴滝「もっとカッコイイ名前にしましょうよ」
辰生「名乗らない方がよかったですね」
熊「はははは君達、私は今結構怒っているぞ。…まぁよい、君達にはこのスコーンをあげよう。そっちの君には生クリームもつけちゃうぞ」
草摩「あ、ありがとうございます。甘いものが好きなもので…」
???「危ない!!!」
ドスドスドス!!
鈍い音と共にベアー・ザ・ローズ(以下B・T・R)が倒れました。
何事かと思いB・T・Rの見ると額に当家の純銀製のナイフが刺さっているではございませんか。
各務「ふう、危ないところでしたね。まさかこのようなところに野生の熊が現れるとは。
たまたま持っていた当家のデザートナイフが役に立ちました。皆さん怪我はありませんか?」
草摩「各務さんありがとうございます。と、言いたいところですがその方はギリギリ人類かと」
各務「えっ!?」
鳴滝「すごい痛そうですけど大丈夫ですかね?」
伽地「これはやばいんじゃないかなー?」
辰生「とりあえず止血して輸血しないとっ!」
世良「お医者様を呼んで参りますので皆さん応急処置を!」
その後B・T・Rは担架で運ばれていきました。あぁなんという運命なのでしょう。
しかし、その勇姿はまさに子供達のヒーローでございました。彼の正体は一体誰だったのでしょう。
〜後日〜
草摩「あ、浅田執事おはようございます。って、どうしたんですかその包帯!」
浅田「いやー昨日寝ぼけて頭をぶつけてしまってね。うっかりしてたよ」
草摩「大丈夫ですか?しかし、一晩でほぼ回復するあたり浅田執事は凄いですね」
浅田「お嬢様方にご迷惑をかけるわけにもいかないですし、このくらいは余裕ですよ余裕。はははは」
あぁ、彼の正体は一体誰だったのでしょう。
それでは本日はこの辺で。
お早いご帰宅をお待ちしております。
#2008年11月12日(水曜日)
草摩 さんの執事日誌を読む
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