長崎大学は9日、医・歯学部付属病院を4月から国立大学法人の大学本部が直轄する「長崎大学病院」とし、診療に重点を置いた組織として独立させる方針を明らかにした。国の交付金削減などで収支が悪化していることを背景に、業務効率化と経営改善が目的。同大によると「診療」と「研究・教育」のすみ分けを図る大学病院改革は全国的に珍しいという。
改革案は同大幹部らでつくる大学病院改革検討委員会(委員長・調漸(しらべすすむ)理事)が片峰茂学長の諮問を受け、昨年秋から着手していた。今月中にも片峰学長に最終答申する。
検討委によると、従来は医学部と歯学部の教授会が推薦していた病院長を、学長が任命する病院担当理事の兼務とし、大学直轄の組織に改編。両学部で約450人いる医師の約4割に当たる166人の人事権を病院に移し「研究・教育」に当たる学部教員とのすみ分けを進める。
予算も学部から独立させ、病床稼働率の向上や平均在院日数の短期化などの効率化を図る。
同病院は2004年4月の国立大学法人化後、人件費などに充てる国の「運営費交付金」が減額されて収支が悪化。08年度は初めて3億‐5億円の赤字に転落する見通し。一方、教員が研究に割ける時間は減少しているという。
調理事は「大学病院の崩壊は地域医療の崩壊につながる。全国の大学病院が同じような状況にあり、早急な改革が必要だ」と説明している。
=2009/02/10付 西日本新聞朝刊=