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2007/11/10-10:15 ボルトン回顧録は「事実無根」=国連総長選の記述に日本反発
【ニューヨーク9日時事】国連安保理で昨年秋に行われた第8代事務総長の選出をめぐり、ボルトン前米国連大使が近著で、日本だけが土壇場まで、当選した潘基文氏(前韓国外交通商相)に反対していたとする見解を明らかにし、これに「事実無根。本を売りたいのか」と日本側が猛反発する騒ぎになっている。
事務総長選は、安保理各国が「支持」「不支持」「意見なし」の各票を無記名で投じる予備投票を計4回行い、候補を絞り込んだ。潘氏に対しては第3回投票まで不支持票が1票あったが、最後の第4回投票で「意見なし」に変わり、当選が事実上確定した。
一連の経緯についてボルトン氏は今週出版された回顧録で、日本が不支持票を投じていると「個人的に疑った」と指摘。第4回投票前に当時の大島賢三大使と会い、「不支持を再考するよう促したが、同大使も否定しなかった」と明かした。
これに対し高須幸雄現大使は「全く事実と異なる。本を売るには面白く書くのがいいのかもしれないが、誤解を与えかねず問題だ」と述べ、日本は一貫して潘氏を支持していたことを示唆。一方のボルトン氏は「意見の相違があるなら自分たちの本を書けばいい」と突き放している。
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興味深い記事だ。米ネオコンのボルトン氏と日本政府はブッシュのテロとの戦いと中国・北朝鮮・リベラルに急進する韓国への対応で強い協力体制をとっていた。それがここまであけすけな罵り合いになったのはなぜだろう。
ボルトン氏の回顧録の記述に対して、日本側の感情的な激しい批判でボルトン氏を嘘つき呼ばわりしたことで仲間割れは決定的になった。
潘基文氏への日本の不支持行動は、隣国の成功を喜ばない卑しい民族感情の発露であるだけに、それが明らかになることはなんとしてでも防ぎたかったのだろう、だからあれほど激しい否定をしなければならなかった。結果はやぶへびということになった。
ボルトン氏の回顧録に日本の民族的感情なぞ考慮されるわけもないし、もともと同じ保守系タカ派と言ってもその原理主義の背景は全く違う。米国人の保守派であるボルトン氏にとって日本の反共を超えた民族的な思考は忌み嫌うべきものであるのだろう。回顧録の記述を「本を売るためのウソ」と言われればボルトン氏が怒り狂うのもうなずける。今後、どちらも引くことはないだろうから、醜い暴露合戦になるのではないかと期待する。
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