伊藤博文 金子堅太郎に・・・(ポーツマス講和会議出席 伊藤内閣農商務相・司法相)
・・・日本中で誰でも、この戦争に勝てるなんて思っている者はいない。満州にいる日本陸軍が全滅し、連合艦隊が全滅して、ロシア軍が上陸しようとしてきたら、妻には兵隊のための飯炊きをやらせ、自分自身は一兵卒になる。勲章も爵位も位階も何もかも全部返上して一兵士となって戦って、ロシア兵に一歩も日本の土を踏ませない覚悟である・・・

ある退職官吏が子どもたちに
ロシア軍が上陸してきたら、お父さんは必死に戦って、真っ先に戦死する。これは先祖代々伝わる家宝の刀である。おまえたちに一振りずつやるから、これで身の決着をつけろ

日本海海戦


絵葉書に見る日本海海戦時の連合艦隊主力 (毎年5月にお借りして5年目になります)

平成17年 日露戦争開戦100周年
なぜ、立憲政治は、機軸としてキリスト教的神を必要とするか
                 
(『日本国民に告ぐ』 小室直樹著 より抜粋)

日清戦争の勝利で天皇は
となった
日本の伝統的中国崇拝信条  その中国を破る
豊太閤もなしえなかった偉業  天皇と天皇の軍隊のカリスマは沖天する
なにが王冠を与えるか。戦場の勝利である」 (ヴォルテール)

「ここに至って、国家秩序の中核自体を、同時に精神的機軸とする方向において収拾されることになった」 (丸山真男 『日本の思想』 岩波新書)

その後三国干渉により遼東半島返還・・・国を挙げての臥薪嘗胆
遺恨十年 磨一剣

露西亜の南下 → 朝鮮への侵攻は時間の問題
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空前絶後の高度成長
  六六艦隊 陸軍は13個師団を整える
  ロシアとの国力比の例  シベリア鉄道 8314キロ  京城〜釜山  450キロ
  しかし、明治36年の初めの頃には、露西亜と戦うべしという議論が盛んになる
  日清戦争の勝利は、元寇の神風を思い出させる
     合理的に考えれば勝つ見込みのない戦に開戦論
・・・神の子(孫)天皇の治める神国・日本には奇跡が起きる

先方が国富み兵強ければ、此方には大和魂と天佑がある。日本は神国だ。いざという場合になれば、奇跡的の勝利を得て見せよう、という愛国的信仰から発した勇気だった」 (生方敏郎著 『明治大正見聞史』)

神国・日本の誕生
  露西亜に併呑される恐怖
ただ空しくてを束ねて併呑されてしまう位ならば、我らは全滅するまでも戦わなければならぬ」 (丸山真男 『日本の思想』 岩波新書)

  伊藤博文 金子堅太郎に・・・(ポーツマス講和会議出席 伊藤内閣農商務相・司法相)
・・・日本中で誰でも、この戦争に勝てるなんて思っている者はいない。満州にいる日本陸軍が全滅し、連合艦隊が全滅して、ロシア軍が上陸しようとしてきたら、妻には兵隊のための飯炊きをやらせ、自分自身は一兵卒になる。勲章も爵位も位階も何もかも全部返上して一兵士となって戦って、ロシア兵に一歩も日本の土を踏ませない覚悟である・・・

  ある退職官吏が子どもたちに
ロシア軍が上陸してきたら、お父さんは必死に戦って、真っ先に戦死する。これは先祖代々伝わる家宝の刀である。おまえたちに一振りずつやるから、これで身の決着をつけろ

ところが・・・連戦連勝!露西亜に勝つ
・・・日本海軍を勝利に導いた連合艦隊作戦主任参謀・秋山真之中佐
奇跡の連続に感激し、いや空恐ろしくなって「発狂」したと言われる。のちに仏門に入って宗教家になった。

・・・なんで、こうも、うまくいったのか。
日本は神国だから神風が吹いたのだ。元寇のときに吹いた神風が、もう一度(一度目は、日清戦争の勝利)、思い出された。・・・

奮戦する三笠 中村不折画
東郷神社『東郷』 2002年(平成14年)5月号 394
日本は神国
   
日本は神国だから、神は奇跡によって、日本を助ける」という形で再々確認される
   
天皇の陸海軍の奇跡  天皇が現人神である証(皇祖・天照大神の嫡孫)

一部尊皇家だけのものであった尊皇思想は全国民にゆきわたる



   天皇は深く人心に浸潤・・・原始キリスト教における「ひたすらの帰依」を連想

   日露戦争の奇跡 → 天皇経のもとに国民を再統一

有色人種の熱狂・・・アジア・アフリカの志士の独立の決意を導く

編者付記
桶狭間奇襲を幸運と感じた織田信長は、その後は決してばくちのような戦闘はしなかった。
維新を成し遂げた武士・明治の将星がイギリスとの同盟に基づいて勝ち取った勝利を「幸運」と感ずることのなかった大正、昭和の軍務官僚は、国際同盟、理論・科学を無視し、論拠のない念力主義によって国家指導を誤り、維新後40年で先進国の仲間入りした(無理はあったが・・)日本を、日露戦後、40年で破滅させた。


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日本海海戦
太平洋海戦と経営戦略 小林宏(産業研究所所長)
史上最大のビジネス・ゲームから学ぶもの..
光文社 カッパ・ビジネス 昭和38年10月25日発行 250円
20
(2) ゲームの理論

明治三十八年五月二十七日、海軍大将東郷平八郎の率いる日本連合艦隊は、ロジェストウェンスキーの率いる遠来のロシア・バルチック艦隊を対馬海峡竹島沖に待ち伏せ、これを一挙に撃滅した。
一万五千キロの長旅で疲れ果てたバルチック艦隊の心理的なあせり、乗員のノイローゼを計算した東郷の思うつぼに、バルチック艦隊がとびこんできたことが、この大勝利の決定的な要因であった。

日本海海戦
 敵艦見ゆ
 両将の意思と想像がピシャリと一致


  企業間の競争とミニ・マックスの原理
  二者で行なうゲームの場合
  期待が一致しないゲームの場合
  史上最大のビジネスゲーム

バルチック艦隊はウラジオストックに入ることが目的 勝利
聯合艦隊はロシア艦隊をウラジオに入れては敗北 撃滅が目的

いずれか出会う戦場のうち・・・
東郷にとっては有利
ロジェストウェンスキーにとっては不利な順にと仮定する
東郷がバルチック艦隊を邀撃するに当たって打つべき手はA1、A2とする
ロジェストウェンスキーの打つ手はB1、B2となる

東郷ロジェストウェンスキー ロジェストウェンスキー B1 ロジェストウェンスキー B2 横列の最小値
東郷 A1
宗谷海峡

対馬海峡
B
東郷 A2
津軽海峡

艦隊を3つに分散
縦列の最大値 B

バルチック艦隊が日本海にはいる予想進路

宗谷海峡: 海戦のためには狭い 艦隊の行動に制限 東郷有利
ロシア艦隊 戦略的には常道  ただし燃料問題 濃霧・・・ 艦隊の集結には不向き 
当初より断念
津軽海峡 海戦のためには狭い 艦隊の行動に制限 東郷有利
宗谷海峡と似た条件
対馬海峡 ロシア艦隊にとって海戦に適する  ロジェストウェンスキー有利
ウラジオへの最短距離
東郷にとってはミニ・マックス ロジェストウェンスキーにとってはマックス・ミニ
艦隊を分散 :よせあつめの艦隊を分散は東郷の餌食になる

島村参謀:「敵に海戦を知るものがあれば、かならず対馬を通る
     聯合艦隊司令部は対馬を通ると確信  
     では聯合艦隊はどこで待つか?
            能登半島沖案もあったが、鎮海湾(朝鮮・釜山近く)に決定

その後、哨戒船・信濃丸がバルチック艦隊を濃霧の中で発見!
   石垣島の漁師も発見。通報のため手漕ぎ船で鹿児島に向かう
   到着は海戦終了後・・・(明治の国民の危機意識・・・『坂の上の雲』)

戦場で初の無線機使用により聯合艦隊に「敵艦隊発見!」を通報

鎮海湾で待機中の聯合艦隊、大本営へ打電
敵艦見ユトノ警報二接シ聯合艦隊ハ直チ二出撃 コレヲ撃滅セントス 本日天気晴朗ナレドモ波高シ(秋山真之の付け加え)
        ↑により大本営は勝利を確信
     視界は良好 波高く照準を定めにくい。猛訓練たえた日本に有利
      この一行に情報満載 歴史的名文


勝ちすぎた艦隊決戦と指揮官先頭の東郷の残像が昭和の海軍を縛る
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主力艦 戦艦 三笠(旗艦)、敷島、富士、朝日、 巡洋艦 春日、日進