公開中の映画「K-20 怪人二十面相・伝」は、ロンドンで学んでセンスを磨いた佐藤嗣麻子監督の長編3作目。目指したのは「スカッと爽快(そうかい)なアクションです」。テンポや流れが小気味よく、日本映画離れした活劇となった。【勝田友巳】
原作は、江戸川乱歩作品を翻案した北村想の小説。二十面相と間違われたサーカス芸人の遠藤平吉が誤解を解くべく、名探偵の明智小五郎と共闘し、本物の二十面相を捕まえる作戦に乗り出す。
「世の中暗いので、キャラクターは全員明るくしました」と佐藤監督。生き生きとした冒険活劇にするため、宮崎駿監督の「ルパン三世 カリオストロの城」を手本にしたという。育ちのよくない男と恵まれた娘が大冒険を繰り広げ、恋をする筋立ては共通する。
それもさることながら、目をつけたのは「カリオストロの城」のアクション。「タメがあったり、デフォルメされていて、日本アニメに特徴的な動き。そのエッセンスを生身の俳優で表現しようと思いました」
そこで、自分の身体能力だけで跳躍する「パルクール」というスポーツの動きを取り入れた。ロシアでその競技者を見つけてスタントマンに起用。CGはほとんどなしで“人力”に頼り、監督いわく「重力があるアクション」を実現した。
自身の好きな監督は、クセのあるテリー・ギリアムやデビッド・リンチとか。しかし、「好き放題やったら、一般受けしないかも」と抑え気味にして、「今回はセオリー通りのオーソドックスな作りにしました」。続編の話も出ており、「撮れるなら、今度は違ったテイストで」とやる気十分である。
毎日新聞 2009年1月20日 東京夕刊