【タイ】ミャンマーの少数民族ロヒンギャ族とみられる約200人を乗せた船が3日、インドネシアのスマトラ島沖を漂流中にインドネシア海軍に保護された。船はエンジンのない木造船で、タイ海軍が自国領海から曳航し、海上に放置した疑いが浮上している。
AFP通信が船に乗っていた男性の話として報じたところによると、男性らはミャンマー軍事政権の弾圧を逃れるため船でタイを目指したが、タイ海軍の艦艇に捕まり、暴行を受けた上、船ごと公海上に曳航され、置き去りにされた。保護されるまでに約3週間漂流し、20人以上が死亡したという。
この報道についてタイのステープ副首相は4日、「ロヒンギャ族の不法入国者は食料、薬品を支給した後、ミャンマーに送り返しており、人道上問題はない。これらの人々は不法入国者で、受け入れは不可能」と話した。カシット外相は「証言が事実かどうか、インドネシア政府の調査を待つべきだ。外国の報道機関を信じるべきではない」と主張した。
タイ海軍による置き去りについては、別の船で漂流中にインド、インドネシアで保護されたロヒンギャ族が証言しているほか、米CNNテレビが曳航、置き去りの現場とみられる写真を放送。数百人が海上で行方不明になった疑いがあり、人権団体などがタイへの批判を強めている。
タイ海軍は非人道的な行為を否定。この問題に関する記事が掲載された1月31日付の英エコノミスト誌は「不敬罪に抵触する恐れがある」として、タイの販売代理店によりタイでの販売が「自粛」された。
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