バンコク(CNN) タイ南西部のアンダマン海で、ミャンマー(ビルマ)から逃れてきた少数民族の難民をタイ国軍が虐待、追放しているとされる問題で、タイ上院がこのほど、事実関係の調査に乗り出した。
人権擁護を訴える非政府組織(NGO)などの報告によると、難民はミャンマーのイスラム系少数民族、ロヒンギャ族。政府による迫害を逃れ、タイやマレーシアなどの近隣諸国に流れ込んでいる。タイ政府は最近、ロヒンギャ族難民への方針を変更したとみられ、国軍が小型船で漂着した難民を拘束したり、船で追い返したりしているという。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の報道官は、「深く憂慮すべき報告を聞いている」と指摘。「難民は航海に耐えられない船に乗せられ、放置されたまま死に至っている」と話す。UNHCRによると、120人以上がタイで拘束され、または追放されて海上を漂流している模様だ。
タイ国軍の司令官は報道陣との会見で、「兵士らは人権を尊重しており、職務上で暴力を行使する者はいない」と述べ、疑惑を否定している。