これも山の応用です

 

 草原は言うまでもなく、草の集まりですね。全体としては緑色を塗ればいいわけですが、ただ、べたっと、緑色を塗っただけでは絵としての情報量が足りません。かといって、草の葉を一枚一枚、丁寧に描いていっては、いつまでたっても描き終わりません。ですので、細かなものの集合体を、固まりとして考えることが必要になってきます。

 固まりとして考えなければならないものは、結構、頻繁にお目にかかります。似たようなものでは、木の集まりで森がありますし、人工的なものでは車の集まったスクラップ置き場や、俯瞰の街並み、そのほか、人の集まった群衆、スタジアムの観客も背景画の担当になる場合が多いのです。そういった場合、個別のものがあるのだということを示唆しながら、同じものとして固まりにとけ込ませます。具体的には、左下の一連の絵を見ながら説明したいと思います。これもPainterで描いたものですので、説明画ということで、だいたいの感じだけ見てくださいね(^_^;)。







 
 3-3aは地塗りにあたります。今回は横から見た絵にするため、横の層になるように描きましたが、もう少し上から見た絵にするときは、島状に固まりを作って描いてもいいでしょう。地塗りの段階でもう少し草のディテールに見えるような縦の流れを描いても良いのですが、今回は小さな画像で描いたので、こうなりました。

 3-3bは、その地塗りに草の影になる部分を加えたものです。美術によっては影のディテールをきちんと描いて、そちらの方で立体感を出し、見せる方法もあります。

 3-3cは、その上に葉の先端の部分をを描き込んだものです。
 3-3fで図説しますと、葉の根本を地塗りと同じ色にすると地塗りにとけ込み、その同じ色でも葉の上の方は、地塗りの方の色が変わってくれるので浮き上がります。つまり、色の重なりで、葉を見せるも、とけ込ますも、決まってくるということです。とけ込んだ部分を固まりとしてとらえて絵を構成します。ようは、そこの所を理解していただきたいのです。

 参考までに3-3d、3-3eがそれぞれ、影の部分、加えた葉の部分のレイヤーです。草の葉自体がボケてなじんでいるのではありませんね。

 実際の背景では、色や筆遣いや、光の方向や、影を考えたりして、見栄えをよくしていきます。この画で言えば、もう少し、光の方向をはっきりさせて、影を重要視しても良かったかもしれません。色遣いも考えた方がいいでしょう。ちょっと手数が多くなりすぎたのは、迷いがあったからです。最小限の作業量で絵を作れると良かったのですが、私自身、カンが鈍っているのを感じます。筆者は、ここ数年、設定画ばかり描いて、色は使っていなかったもので、ほとんど、背景画は引退状態です。草薙さんの現役スタッフは、もっと良い絵を描くでしょう。

 

 

 実は、自然物を描くのは、建物や部屋の中を描くことより難しいのです。覚える順番では、メカの方を先にしてもいいくらいでした。でも、背景のエッセンスを文章にしてわかってもらうには、こちらからの方が良いかと思いました。

ここまで読んでいただいても、自然物が描けるようになっている訳ではないと思います。プロとして数年間、毎日背景を描いている人でも、自然物が苦手な場合もあります。また、描けてると自分では思っていても、うまい人から見れば描けていないプロの人もいます。プロでさえ、そうなのですから、時間のないアマチュアの方には、絵を描くことは大変なことです。

私(筆者)も、自分のことは棚に上げないと、うまい人からどう思われているかを考え、怖くて文章が書けなくなります。井の中の蛙で、怖いもの知らずでいられるほど、若いわけではありませんから、いろいろな分野の絵を見てきましたし、多少の経験も積んできました。それで時々、「自分は全然描けていないんじゃないか」と落ち込みます。でも、絵の仕事を続けているのは、やはり絵を描くことが好きだからなのでしょう。(ほかの仕事ができないから、と言う意見もありますが。)

好きこそものの上手なれ、です。上を見て向上心があるからこそ、落ち込むのだと思います。すぐには描けないかもしれませんが、がんばっていきましょう。

では、次はメカの描き方の話に入りましょう。メカが好きでないかたも、くっきり、キチンとした絵を描く練習だと思って、おつきあいください。



B−3草原を描く

>コミュニティに戻る
>デザインブログ

@-1:なるべくお金を使わずに道具を
そろえたいんだけど・・・




A-1:紙との会話

A-2:絵の具を塗る

A-3:空気の感じ

A-4:雲なんか入れたいな

A-5:星だって描いちゃうもんね



B-1:海を描こう

B-2:山を描く

B-3:草原を描く



C-1:真っ直ぐな線を引きましょう

C-2:メカの線のある壁を描いて
みましょう

C-3:メカ線のある壁を描いて
みましょう(金属の壁編)



to be continued.



to be continued.



Copyright (C) 2007 KUSANAGI . INC All Rights Reserved..