2005/06/03
郵政民営化に関する特別委員会 一般質問
 

○二階委員長

 これより会議を開きます。

 内閣提出、郵政民営化法案、日本郵政株式会社法案、郵便事業株式会社法案、郵便局株式会社法案、独立行政 法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の 各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、参考人として日本郵政公社総裁生田正治君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人 として
内閣官房郵政民営化準備室長渡辺好明君、
内閣官房内閣審議官中城吉郎君、
内閣官房内閣審議官竹内洋君 、
内閣官房内閣審議官細見真君、
内閣官房内閣審議官伊東敏朗君、
内閣官房内閣審議官篠田政利君
及び
公正取引委員会事務総局経済取引局長伊東章二君
の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

(発言する者あり)


 

 この際、お諮りいたします。
 先ほど申し上げました参考人、政府参考人につきまして、本日の議事に出席し、説明聴取することを御了承いただけますか。

   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○二階委員長 はい。
    ――――――――――――

○二階委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。園田博之君。


○園田

 私は、自民党のこの問題を議論する合同部会というのがありまして、その座長を務めさせていただいたことがありまして、質問をさせていただくということになりました。

 初めに、党内の議論の概要をちょっと総理にもお聞きいただきたいと思っています。
 私が引き受けてから三十三回か四回やりましたかね、中には深夜の三時まで議論をしたこともありました。何せ百三十年も国営でこの大きな事業をやってまいりましたし、そのことが、いろいろな地域の方々に郵便局を通じてこの三事業のサービスをし続けてきて、結果として地域の住民の利便性に大変な役に立ってきたという経過がありましたので、これはなかなか無理からぬところだというふうに思っております。

 実は、私ももともと、総理、申しわけないんですが、反対でございました。それは、時期が早いという意味で反対だったんですね。特に金融の二つの事業が、これは長年の課題でありました。やはり、ずっと国家の保証でこの事業を営んできて、多くの資金が集まって、そのことが日本経済に大きな支障をもたらしているんじゃないかという声はずっと前からあったことでありまして、今の経済状況だと大して資金需要もありませんから大した問題になっていませんが、長い目で見るとやがてまたこの問題も出てくる、こういう認識はありましたから、どこかでやはり民営化ということも考えなきゃならぬのかなと思っておりました。

 一方では、郵政公社が発足をして二年たちましたが、きょうもおいでいただいていますが、生田総裁のもとで、中期目標、四カ年計画というものの半ばになりました。大変な努力をされて、人員も一万七千人減った、経営改善の効果が出ております。一番難しいと言われていた郵便事業も黒字に二年連続でしておられますし、その効果が出ているわけですが、私の当初の考えでは、党内では今でもそういう議論が非常に多いんですが、四カ年終わらせて経営改善の結果を見て、そして、そこでその先の経営形態をどうするかということを真剣に議論したらどうかというのが私の当初の考えだったんですね。

 しかし、それなりに議論もし、勉強してみますと、一つには、先ほどの金融の郵貯、簡保の問題、それからもう一つは、やはり郵便事業そのものも、御案内のように取り扱いが年々減少してきておりますし、これは先々も多分減少し続けるだろうと思います。それから、収支の面で一番収益率の高い郵貯にしましても、今、低金利時代ですから、安い金利で預かったお金を国債で運用するだけで十分な利益が出るわけですが、これが、経済状況が変わって金利が上がってきたりしますと、そうはいかないだろう。やはり、運用をもう少し広げて収益を確保しなきゃならぬという時代が間もなくやってくるだろう。そういう意味で考えますと、民営化するのであれば、早くスタートをして準備するというのも妥当な方法だろうな、こう思いました。

 それからもう一つは、これはもう率直に言って、私の想像以上に小泉総理御自身の意欲というのが、私の想像を超えて、この問題に関して異常なほどの情熱を持っておられるということが、これは思い切ってここで民営化を断行して進めるべきではないかなというふうに私自身は判断をいたしました。この議論の中で、ただわんわんわんわん言っているだけじゃなくて、私は、それなりに皆さん方やはり考えて、この郵政の改革についてお考えになっているんだなということは申し上げておかなきゃいけないと思うんですね。

 例えば、一つの例でいいますと、民営化するんだったら、公共性の高い郵便事業は公社でやって、そして問題の金融の二つの事業だけ民営化したらどうかという考え方も示されました。あるいは、公社化ではありますが、これは日本の社会とか経済のあり方論からきているんでしょうが、郵便事業はもちろん公社がやるんだが、金融二事業が問題になるのであれば、これは意識的に政策的にも規模を小さくしていって、そして、最低限やはり地域の住民の窓口としての機能だけは残したらどうかという考え方も示されたこともありました。

 きょうのニュースで見ておりますと、公社法改正案がちょっとニュースで示されておりましたが、これも私は、部会ではよく考えたということは、御苦労されたということは評価しましたが、これは欠陥があるといって却下したんですが、公社法といいましても、さっき申し上げたように、中期四カ年計画が終わったら、民営化も含めてその時点で決めたらどうかという考え方なんですね。一方、その間はある程度の税金を払って義務を果たしていくというやり方でやったらどうかというのが、私の理解する公社法改正案の考え方だと思うんです。

 いずれにしましても、現状のままでいいとはだれも言っていないわけで、私は、そういった意味で、党内の議論も、ただ変えるのが反対だから嫌だ、こう言っているんではないということをまずやはり総理にもお知らせしておく必要があるんだろう、こう思っています。このことについては、後でまた総理に御感想も伺いたいというふうに思っております。

 そこで、今度の、政府から出された四分社化による民営化というのは、幾つかポイントがあるんですが、一つのポイントはやはり分社化だと思うんですね。これは私は、よく言うリスク遮断といいますか、それぞれの事業をやはり独立させて、郵便局といえども窓口なんだけれども、これは、いろいろなことの窓口をやることによって一つの事業として成り立たせ、全国にある二万四千七百の窓口を有効的に生かすためには一つの会社にした方がいい、これは私はよく理解できます。

 ただ、もう一つの目的は、金融の貯金、保険、この事業については、これは十二年後ではありますが、完全に民有民営化する、しかし一方、郵便事業と郵便局の会社は、これは極めてやはり公共性が高い、したがって、民営化ではあるけれども極めて特殊な会社なんだ、こういうふうに私は理解しているんですが、この考え方で間違いはないんでしょうかどうか、感想も含めて総理にお伺いしたいと思います。



○小泉内閣総理大臣

 園田さんには、本当に連日御苦労いただきました。会合をすれば、出てくる方はほとんど反対論。しかし、何とか国会に提出しよう、そのために反対論者を説得してまとめなきゃならない、何回やってもまとまらない、あるときは深夜三時ごろまでかんかんがくがくの議論をされて、ここまで、国会提出までこぎつけた御努力に対して、もう深く感謝しております。

 それぞれの反対論も理由があると思います。百年以上続いているんですから、郵便局。そして、民営化になると郵便局がなくなるんじゃないかという不安というのはいまだにある。そういう中で、この郵便局が、民間の方々に経営を任せても郵便局の機能は維持されるんだという理解を得るためには、これからも格段の努力をしていかなきゃならない。

 なおかつ、今の郵便局というのは、民営化する際には、こういう民営化会社は一つもないんですね。郵便事業、貯金事業、保険事業、一体で運営している民営化会社は一つもない。これをどうやって民営化するのかと。郵便局の中には、一人三役やっている、一人で郵便事業なり貯金事業なり保険事業なりを、兼職みたいな、兼業みたいな形で忙しくやっているのをどうやって分社化するのか。率直に考えますと、これを果たして民営化できるのかと不安に思う方々もたくさんおられるわけであります。

 しかし、そういう中、やはりこれから新しい時代に対応するために、本当に三事業をしてはいけないという制約の中で、この目まぐるしく変化する国際社会の中で、常に世界的視野を持って、郵便事業においても金融保険事業にしても、展望しながら考えていかなきゃならない。日本だけ別だという、そういう考えもありますけれども、同時に、発展するためには、国際社会のいろいろな競争に耐えていかなきゃならない。

 そのための改革ということを考えますと、国家公務員、いわゆる商売の苦手な役人に、資金の運用にしても、あるいはサービス展開するにおいても、商品を開発するにおいても、本当に公務員というのは適しているのかというと、商売が苦手だからこそ公務員になっているんじゃないかという議論もあるぐらいで、私は、そういう意味において、この三事業だけの制約の中で今の郵政事業をやるよりも、もっとほかの事業も展開できるような形で今の郵便局もサービス展開をした方がいいのじゃないか。

 そういう中で、私は、貯金事業と保険事業は、今完全に民営化、いわゆる一般の民営化会社、株式も全株処分ということでありますが、今言われた郵便局、窓口サービス会社と郵便事業会社、これはやはり特殊会社として、民営化としても、完全に株式を売却するということではない。かなり公共的な面が強い分野でありますので、そういう点は、貯金会社と保険会社とは区別して考えるべきだということであります。

 もとより、この問題につきましては、国家公務員として、常勤職員約二十七万人、短時間公務員が約十二万人、含めますと約四十万人近い国家公務員の方々の雇用というものも考えなきゃいけない、身分というものも考えなきゃならない。
 それぞれ考えると難しい問題でありますが、やはりこれからは、新しい国民の資金をどういう分野に展開していくかというと、官業の分野の改革を考えると、私は、民営化していろいろな分野に資金が回るような仕組みを、制度をつくっていくべきではないかなということをかなり前から考えておりました。

 そして、公社になるときにも反対がありました。なぜ公社にするのかということでありますが、私は、公社になるときの議論のときも、この問題につきまして、郵政公社はこのままでいくと立ち行かなくなる、そして、早い時期に民営化すべきだという意味から、郵政公社は民営化の一里塚ということを申し上げていたわけであります。しかし、党内におきましても野党におきましても、民営化は絶対反対という声が強い、民営化は絶対行わないんだ、公社で改革は打ちどめだという意見も強かったということは承知しております。そういう中にあって、今、公社のままがいいという意見もわかりますが、やはりここで、公社のままの改革よりも民営化に向けた改革の方がより大胆な事業展開ができるのではないかということで、今回法案を提出しているわけであります。

 もとより、この提出までに合意を取りつけるまでの園田さんの御努力、御苦労、よく知っております。また、合同部会、自民党内の多くの反対者が出る中での御意見、私もかなり、どういう反対論が展開しているかというのにつきましては、よく議事録を見ております。部会の会場の中においては、ほとんど反対論の中、賛成論はごくわずか。そういう中で、これを時代の流れであるから国会提出やむを得ないかなということでここまで持ってきたということについて、私どもとしてはその御努力を謝すとともに、せっかく提案したからには何としても実現したい。

 与野党反対論が強い中でこういう民営化の法案を出すということも、これまたかなりまれな例でありますけれども、よく審議をいただいて、議会の方々の理解を得て、今国会中に成立を期して、そして民営化しても利益を出せるような会社として、国民の要望にこたえるような形にぜひともしていきたいと思っております。


○園田

 民営化された場合の心配事というのが幾つかありまして、やはりその中心になるのは、今ま
でどおり郵便局が全国のいろいろな地域に、考え方としては今のまま郵便局が残って、しかも、郵便だけではなしに、別な会社になる貯金や保険のサービスも郵便局を通じてし続けることができるのかどうかというのが一つのポイントなんですね。

 そこで、その問題を中心にして、私どもは政府と協議をずっと並行して行ってまいりました。そのことについて、この民営化でも三つの事業で今までの郵便局を通じていろいろな地域にサービスすることができる、こう判断をして、いろいろな修正があった上で今度の国会に提出をしていただいた、そのことを私としては認めたということになったわけであります。

 そこで、我々と合意した事項について、改めてここで幾つかやはり確認をしておきたいと思うんですね。

 なぜかといいますと、私どもは、総理御自身とこれを協議することは残念ながらできなかったんですが、竹中担当大臣もおられますし、関係の大臣が全部おられますから、こういう方々と協議をしてまいりまして、なかなか難しい点も幾つかありました。何か難しいことを言いますと、総理が納得しないとかという言葉がよく出てきまして、普通の法案ですと、大体担当大臣がお決めになって総理がそれを了解するという形なんですが、どうも私は、これは具体的に小泉総理御自身が指示しておられるので、このことがよく理解されたかなという心配があるものですから、総理の前で幾つか確認をしていただきたいと思います。

 このユニバーサルサービス、三事業でのユニバーサルサービスをこれからずっと、別な会社になり、しかも貯金と保険は完全な民営化会社になる、そういう会社とずっと結びつけながらサービスさせていくという方法はそう簡単ではないんですね。簡単ではないんですが、幾つか議論をし合って、それを結びつけていくということにしたわけであります。

 その一つの方法は、この問題というのはほとんどが、難しいのは今から十二年先からの問題なんですね。ここが、そのときの事態もなかなか予測もできないし、困難なところなんですが、例えば代理店契約、貯金会社、保険会社は窓口サービス会社を代理店とします。十年間は義務づけられています。十年後以降どうするんだということについて、一つには、双方が合意すれば十年以上の長期契約も可能にするということにいたしました。

 それからもう一つは、基金ですね。当初は政府から一兆円の基金をつくり、その基金の運用が年間百八十億あるので、六十億は社会貢献基金、百二十億を特に田舎で経営が困難なところ、手数料がある程度の、通常の相場でも代理店となり得るような、そういう契約が結べるように、場合によってはその基金の中から補てんをしていくという構想。これは最終的には二兆円ですから、三百六十億円の運用益を毎年使えるということになりました。

 それからもう一つは、何といっても、別な会社になるにせよ、あるいは完全な民有民営の会社になるにせよ、これからもずっとやはり郵便局の会社、窓口サービス会社と縁を結んでいかないと不安だ、こういうので、株を連続的にずっと持てるということにした。これは、政府の方針で立てておられる原則的には全部市場に渡すんだという原則を侵さないまでも、しかし一方では連続的に株は持てるような、そういうことを認めるということにしたわけでありまして、このことについて、まず最後の株のことについて、竹中大臣から、どういう御理解をいただいてこういう合意をしたのかということを、ここで述べていただきたいと思います。


○竹中国務大臣

 御指摘のように、各地域、各郵便局で金融を含むしっかりとしたサービスが提供できるようにすること、この点は園田委員が座長として最も心を砕いて、いろいろ熱心に御議論くださった点でございます。我々も大変感謝を申しております。

 その上で、今、仕組みそのものは既に園田委員御指摘くださいましたけれども、これはそういう金融サービスが提供できるような利便を確保することが重要であるという重みは、我々も非常にしっかりと受けとめております。したがって、移行期間については、それを十分にカバーする代理店契約がある、それを超えて長期にすることを妨げない、その上で、万が一にもそういった委託がなされない可能性があるような場合には、これを基金を使ってやる、そのような仕組みをつくっているわけでございます。

 お尋ねの、そういった意味での一体感を持った経営をするに当たっての、その一つの担保としての株式の所有というのをどのように考えるかという問題でございますが、これは、銀行と保険というのはまず極めて重要な信用を背景としたビジネスでありますから、まず何といっても国の関与をしっかりと断ち切る。したがって、仕組みそのものも商法の一般会社として設立した上で、移行期間内に完全に処分するということにする。そうした意味で、ある意味で民間企業としての、民有民営の企業としてのスタート台に立っていただく。

 同時に、では民営化された後はどうするのかという問題に関しましては、これはまさに民営化された企業でありますから、それについて政府は特別な関与はしない。すなわち、今ある一般的な枠組み、法律の中で、そこは経営判断として必要がある場合にはそのような判断をしていただいたらよいではないかというふうに考えているわけでございます。
 すなわち、これは持ち株会社や郵便事業会社の方、そして窓口会社の方は、これは特殊会社でございますから、特殊会社としてのその設立の本来の目的、制約というのは当然ございますが、安定的な経営を確保するために必要な範囲でそのような行為、株を所有するという行為を妨げるものではございません。

 もちろん、その際に独禁法の枠組みがございます。また、銀行の株を持つ場合には銀行法に基づく主要株主の規制というものがございます。そういうものは当然のことながら他の民間金融機関と同様に適用されるという範囲で、しかし経営の判断でそこは安定的な経営を目指していただければよいというふうに考えているわけでございます。

 その結果、与党の皆様方の御意見も踏まえて、結果的に株式の連続的な保有が生じるということは、これはあり得ることであるし、それに対して無理やり法に規定するというようなことは政府としてもしないのだ、そういう考え方のもとに今回の制度設計をしていることでございます。
 したがって、株式の連続的保有が経営判断で可能になるということを今の法律の枠組みの中で担保しているわけでございます。


○小泉内閣総理大臣

 先ほど園田さんから、私が異常な決意で、小泉がだめだというような指示だという話なんですが、異常な決意だということは認めます。しかし、私が出したのは大まかな方針なんです。細かい技術的なことまであれこれ、こうやれああやれと言ったことは一つもありません。それは、竹中大臣なり麻生大臣なり担当大臣を信頼して、十分協議をしてくださいと。総理大臣としては任せることが大事ですから、私は、できるだけ余り細かいことは言わずに、基本方針だけ指示して、それにのっとってやってくれと、あとは各大臣を信頼してやったわけです。

 そういう点について、私が強く出した基本方針というのは、郵便局がなくなると誤解を持っているから、郵便局の機能、今の郵政サービスというのはなくならないということ、これはしっかりしてくれということ。それと、郵貯、簡保、これは政府保証がある、政府保証がある限り民営化にならない。これは移行期間をもって、政府保証がある期間と、民営化になった場合は政府保証がなくなるのだ、これはしっかりしなきゃいかぬ。そして、各会社の機能が違うのですから、しっかりとそういう郵便局の仕事が機能できるように、それぞれの郵便事業なり窓口サービス事業なり、あるいは郵貯なり簡保なり、これが民営化した場合に成り立っていけるような形をきちんとつくること。そして、今郵政事業をやっている国家公務員、これは国家公務員である必要はない。一部に公権力を行使しないとできない部分は除いて、これは公務員である必要はないから民間人になるべきだ。

 この方針をきっちりと守ってくれ、あとは専門家の担当大臣、有識者の皆さんに任せるから十分協議してください、そういうことなんです。そこをまたよく御理解をいただきたいと思います。


○園田

 そうだったのですか。そうだろうと思っていましたが、ちょっと竹中大臣にやられたかもしれませんね。壁をつくるために使われたのかもしれません。しかし、結果としては、我々の要求を基本にして協議して結果が出たわけですから、今さらそう申し上げてもしようがないのですが。

 私は、一つには、この場で最初申し上げたように、やじは民主党からしか飛びませんが、自民党でも異論を唱える方は依然として多いわけで、この委員会を通じて理解を得られるような議論が進むようにやはりしなきゃいけないと思うのですね。そういう意味で、総理も、党内でこんなことを言うやつがまだいるのかと思われるかもしれませんが、それはやはりちょっと聞いてやって、それを理解するような努力を今後ともぜひ続けていただきたいというふうに、これはお願いを申し上げたいと思います。

 それから、基金のことですが、これは単純な質問ですが、竹中大臣、この基金が発動するのは十二年後なんですかね。その間も発動することがあり得るんでしょうか。ちょっとお話しください。


○竹中国務大臣

 基金そのものは、すぐに積み立てを始めてまいります。それで、基金が必要になる場合として
は、これは社会貢献等々もございますから、社会貢献等々で必要になるという場合には、これはそのような基金が使われるということは理屈の上ではあり得るということだと考えております。

 今直接のお尋ねは、地域貢献について、恐らく金融サービスがどうかということだと思いますが、金融サービスについては、これは移行期間を最低限カバーして、それを上回ることがあり得るような安定的な代理店契約を結ぶわけでございますから、その代理店契約がある以上、常識的な範囲では、そういう形での、まさに地域の金融をカバーするための基金の発動というのは、これは常識的にはないというふうに私は思っておりますが、形の上では、先ほど申し上げましたように社会貢献等々ございますので、基金そのものは使える形で存在するということに相なります。


○園田

 もう一つ、私は、協議したことで私自身が一番大事にしていることは、三年ごとの検証とい
うものなんですね。

 これは最初に申し上げたように、今問題になっているのはほとんどの問題が十二年後のことなんですね。そのときの状況が、予測はできても現実にどうなるかわからない。基本的に、全体としてみんなが不安を持っているのは、計画どおり本当にうまくいくのかどうか。採算だって、言われるように、新しい事業を始めて、そういうのが本当に実になっていくのかどうか。それを目指して頑張らなければいかぬわけですが、非常に心配事が多いのですね。

 そこで、これは最初から政府では三年ごとのレビューというものは出しておられますが、この三年ごとのレビューの中で、私が一番やはり特記事項として政府と与党の間で合意しなきゃならないのは、今申し上げている郵便局の設置状況ですね。それから、郵便局で三つのサービスがずっと行われているかどうか。そういうこともよく検証して、もしそれに支障が出てきている場合にどういう施策を講じるのか。そういうことも必要だから、このことは政府と与党の合意の中にきちんと入れてくれということで、入れました。

 このことについては総理御自身も御承知だと思うのですが、我々がそういうことを心配しているということを御認識いただきたいと思いますし、そのことは、竹中大臣代表して、間違いございませんでしょうか。


○竹中国務大臣

 この点も園田委員に大変御尽力をいただいた点でございます。三年ごとの検証につきまして、
郵便局の設置状況、そして基金の活用等による金融・保険サービスの提供状況が、その三年ごとの検証の対象となるかということでございますが、それはそのとおりでございます。

 「検証の対象には必ず設置基準に基づく郵便局の設置状況及び基金の活用等による金融・保険サービスの提供状況が含まれるものとする。検証結果は遅滞なく国会へ報告されるものとする。」これはまさに、そのとおり、合意したとおりに我々は実行してまいります。それを確保するためにも、より多角的、総合的な検証が行われるとの趣旨が明らかになるように、法案の書きぶりも修正をさせていただいたところでございます。

 この検証の主体であります民営化委員会というのは、これは全閣僚で構成されます推進本部のもとに置かれることになります。政府としては、これはもう言うまでもありませんが、この政府・与党合意の当事者でございますから、当事者として、民営化委員会によります三年ごとの検証対象につきまして、この合意に基づいてしっかりと、御指摘のような点がその中に含まれるように、しっかりと関与をしてまいります。


○園田

 それから、もう一つの心配事は、生田総裁は、後でちょっとお話しいただきますが、経営の自由度というのを確保してくれ、民間会社としての義務はすべて行うのでコインの両面論だとおっしゃるんですが、一方では、経営は何でもさせてくれ、こういうことをおっしゃっています。このことと民業圧迫という問題、これは非常に困難な問題なんですね。

 これは、一番の問題はやはり郵貯だろうと思います。このことについて金融大臣に聞くと、状況を見ながら判断をしていきたい、大体そういう答えになっちゃうんですね。それ以上のことはやはり今できないだろうと思うんですが、このことも実は三年ごとの検証にやはり十分関連をしていくんだろうと思うんですね。

 せっかく、もともと民業圧迫という中で出てきたこの民営化が、今の規模で、しかも国債の保有が少なくなっていったとしますと、与党との協議の中では三十兆とか三十五兆を新たに運用するとおっしゃいましたかね、この金額だけでも膨大なものでありまして、私は、これは自由であるとはいいながら、やはり状況を見ながら、民間金融機関の業を圧迫しない、そういうことを一方では相当神経質になりながらやらざるを得ない、こう思っているんですが、総理御自身はどう思っておられますか。


○小泉内閣総理大臣

 これは、郵政民営化の賛成論者の中にもさまざまな考え方があるんですね。片っ方では、 官業の肥大化、民業圧迫、そういう批判に対してどう対応するか。と同時に、民営化した後、企業として収益を上げるように成り立っていかなきゃならないということを考えなきゃならない。両方考えなきゃいけないんです。

 そういう点で、移行期間の後は、郵貯株式会社というのは政府保証がなくなるわけですから、民間金融機関と同じように自由にやっていかなきゃ成り立っていかない。しかし、政府保証がある間にその準備もしなきゃならないだろうという議論があるわけです。その点はよく検討しながら、金融担当大臣、よく民間企業なり国民のいろいろなサービスを必要としている点も考えながら対応していこうと。これは非常に大事な調整だと思います。

 民営化した後に、民業、ほかの民間金融機関と同じ基準にするのが民営化会社だ、これは当然です。しかし、政府保証がある間にそれをやられたら民間金融機関だってたまらぬ、こんな恩典を受けたままに同じことをやられたらまさに民業圧迫になるという、これをうまく調整していかなきゃならない、私はそうだと思っております。


○園田

 それでは、生田総裁にもおいでいただきまして、私は、最初に申し上げたように、四年間の計画を立てておやりになっているだけに、落ちついて民営化できればと思っていたんですが、そういう点では、生田総裁だけではなしに、私は労働組合の方々にもお会いしました。経営改善をやって、その先にまた民営化と いうことが来るかもしれないともともと思っていたと。そういう意味では、そういう気持ちであられるだけに、中途で民営化するということが、気持ちとしては申しわけないという気持ちもあるんです。

 そこで、生田総裁として、一つは経営改善の状況、どういう手ごたえを受けとめておられるのか。そして、その途中で民営化するということについて、もちろん御了承いただいていると思うんですが、民営化するに当たって、また新たな気持ちといいますか、どういう方向でこの会社が行くべきかということについて、御意見をお聞かせいただければと。


○生田参考人

 日本郵政公社の生田でございます。おはようございます。
 お答えさせていただきます。

 まず、経営に当たりまして、公社スタートと同時に、一期四年を二つに割りまして、前半、後半、フェーズ1、フェーズ2といたしまして、アクションプラン、行動計画をつくって経営をいたしております。やり方としては、四年で考えていた改革を、改革というのは短期に凝縮してやった方が効果も大きいし痛みも結局は少ない、こういう考え方で、凝縮して最初の二年にやる、こういうことでやりました。

 これのインフラといいますか、背景として、これは社長がかわれば意識の改革ということはどこでもやるんですけれども、官庁文化、官庁的な発想、すべて意識をビジネスに変えるということとともに文化を変えよう、何となく役所的な文化というものを事業型に変えようという意識と文化の改革というのをやりました。

 組合、JPU、全逓ですね、それから全郵政ともしばしば話し合いをいたしまして、彼らの大変いい理解と協力を得て現在取り進め中であります。その結果、フェーズ1の平成十五、十六年度は両方とも、三事業ともおかげさまで黒字を出させていただきまして、二年まとめてフェーズ1はアクションプランの数値目標を少し上回る形で達成させていただきました。

 例えば、自己資本のところですが、公社スタートのときは一・三兆いただいたんですが、今、自分で積み増しをいたしまして六・一四兆までいっています。これは、中期経営計画では三兆と予想されていたんですが、倍ぐらいいったということで、何か、竹中大臣に、民営化するとすれば、そのときの自己資本、おおよそいいんじゃないかと言われそうな気が背中でするんですが、そっちの方はまた別問題でございまして、またいろいろお願いいたしますけれども、一応そこまで来ているということがあります。

 資金量は、両方合わせまして三百五十七兆でスタートいたしましたのが、これは大体計画どおり、健全なスリム化、バブル以前の平時に戻りつつあるわけですね。三百三十二兆に戻ってきた。

 従業員は、先週の金曜の桝屋先生のときに、私、二十八万六千からと申し上げたんですけれども、これは予算値というもので、予算上そうなっていた数字をつい申し上げたんです。予算はそのとおりなんですけれども、実数は減っておりまして、実際上は二十八万一千在籍しておりました。そこから勘定した方が公正だと思います。

  おわびとともに訂正させていただきたいと思うんですが、実数であった二十八万一千から今は二十六万二千ということで、一万九千人、まさに組合との同意で減してきております。

 各分野ともいろいろな問題があります。さっきから先生御自身がおっしゃっていただいているように、ビジネスモデルが非常に制約されておりまして問題がございますが、結果として、アクションプランは達成した、それから、郵政事業だけを過去の状態と絶対評価しますと、かなり健全の方向に向かっているということは言えるんだろうとは思うんでありますけれども、ただし、市場にある同業他社と比較いたしますと、利益率という意味では、比較できないほどやはり劣っております。
 だから、民営化したときの事業としては市場に出ると大変苦しい、こういうことになるとともに、現時点では、公社法の枠内でまだまだ改善できる余地がいっぱいあります。それを何とかフェーズ2の間にやりまして、より健全にしたいと思うんでありますが、どうしても大きな制約がございますので、そこまで行ってしまった後は、これはちょっと大変だな、比較的近い将来、その上限が来るんだろうと思います。

 民営化の関連について先生最後におっしゃっておりましたので、一言触れますと、私といたしましては、民営化するしない、いつやるというのは政治でお決めになる高度の判断だと思うんですが、おやりになる場合は、雇用を重視するといったような五原則、これはきちっと守っていただくということに加えまして、公社自身が掲げて努力しております三つの経営ビジョンが、公社のままでいるよりもよりよく達成できるような制度設計にしていただきたいということを折に触れお願い申し上げております。

 それは、真っ向サービスといいますか、国民の利便性の問題。それから二番目に、事業としての健全性、これを整備する。これは国家の財政のお役にも立つはずだということと、大勢の職員が働いているわけでありますが、何とか生き生きと、働きがいがあるように、将来展望が持てるような職場をつくるという三つのビジョンがあります。これがよりよく達成できるような制度設計をということを常にお願いしておりますので、民営化に際しましてはぜひそうしていただきたいし、それがあわせてきちっと達成されるんであれば、先生おっしゃるように、適切なタイミングに民営化していただいたらその分将来展望に早くつながるのかな、こういう感じでおります。
 失礼します。

○園田

 ありがとうございました。
 私は、ちょっと一回新聞記事を見て、それから、きのう何か予算委員会で、私が修正を前提に同意を取りつけたんだからということを何か野党の方が言われたらしいんですが、これは一つ誤解がありまして、修正を前提に取りつけたんですが、それはその日のうちに修正しましたから、それはそれで済んでいるんです。

 ただ、私は、今総理がおっしゃったように、原則は守るけれども、やはりみんなの理解を得るように努力したい、こうおっしゃるからには、最初から修正なんてことは言っちゃいけませんが、例えば私は、貯金や保険の会社に義務づけるということは、なかなかこれは難しいと思うんです。しかし、郵便事業や郵便局の会社にある程度の義務づけというのはできると思うんですね。そういうことを、余り具体的には申し上げませんが、いろいろな議論の中でユニバーサルサービスが心配だということがあれば、そんなこともちょっと考えたらどうかなとい うことを申し上げて、終わらせていただきたいというふうに思っています。
 ありがとうございました。
 

 
政策紹介
プロフィール
事務所案内
個人献金
 

自民党ウェブサイトへ