スポーツＨＯＵＲ：元プロボクサー・樫原聖二さん、自宅にジム−−阿波　／徳島

　◇いつかチャンピオンを
　元プロボクサーの建設会社社長、樫原聖二さん（４２）＝阿波市市場町香美＝が自宅にボクシングジムを開いた。県内では珍しい公式リングを備え、参加費は無料。指導にも当たる樫原さんは「いつかチャンピオンを育てたい」と夢を膨らませる。
　１７歳で四国初の高校生プロボクサーとなったが、けがのため２年後に引退。世話好きな性格で少年野球チームの監督を１２年務めた。引きこもりや不登校で悩む保護者の相談を受け、子どもたちと体を動かし、汗を流した。学校に復帰できた子どもたちの姿を見て、「ボクシングが健全育成につながれば」と昨年１０月、約６００万円を投じて「明徳ボクシングジム」を開設した。
　倉庫を改修した約１４０平方メートルのジムでは、６〜７２歳の６８人が練習に励む。「課題を持ってやらんとあかんよ」。サンドバッグをたたき、筋力トレーニングに取り組む男女に樫原さんの指示が飛ぶ。
　練習生の目的はさまざまだ。「プロになりたい」と自前のグローブで練習するのは阿波西高１年、濱口政一さん（１６）。近くに住む練習生最年長の前田藤子さん（７２）は、健康作りのため、マイペースで縄跳び。メタボ対策のサラリーマンや、ダイエットのために通う女性も多いという。
　ジムでは時折、練習生の笑い声が響く。「縁あって出会った仲間。真剣に挑むことも楽しむことも大切」と樫原さん。幅広い世代が集まる空間に手応えを感じている。
　練習は月・水・金曜の午後５〜８時。問い合わせは樫原さん（０８８３・３６・２８５８）。【井上卓也】

１月２７日朝刊