◇「対応考えるきっかけに」
不登校や引きこもりの経験がある若者が集うフリースクール「みらいの会」(向日市)で学んだ3人が31日、中京区のウィングス京都で演劇「折り紙気分」を上演する。出演者の引きこもり経験を基にした作品で、出演する同会代表の山田知弘さん(27)は「引きこもりに悩む家族に見てもらい、どこでつまずくのか、どう対応すればよいのか考えるきっかけにしてほしい」と話す。【谷田朋美】
◇いじめ問題描く
出演するのは山田さんのほか、片井崇行さん(24)と藤村早苗さん(27)。山田さんは小学5年から10年間、片井さんは中学2年ごろから約3年間の引きこもりの経験がある。
劇の舞台は中学校の教室。転校を繰り返して不登校になったクラスメートを巡る人間関係や、いじめ問題を描いている。「他の人をいじめなければ、自分が逆にいじめられるのではないか」など、誰もが感じる不安な気持ちを表現している。
同作品は同会が02年から演じ始めた。向日市を皮切りに島根県、福岡県、ソウルなど18都市で上演し、反響を呼んできた。山田さんは「演じることを通して自分の体験を客観的に見られるようになり、心が軽くなった」と話す。
初演時に10代後半だった山田さんらも20代後半になった。現在の中学生の心情とずれが生じてきたため、同会では同作品の出演者を新たに募集している。対象は15歳以上22歳未満の男女で、交通費などは自己負担。問い合わせは同会設立者の野田隆喜さん(090・3035・8050)。
一方、山田さんらは今回の上演を最後に、今後は引きこもりから立ち直る姿などを描いた続編の制作に力を入れるという。野田さんは「引きこもり体験者はどう社会に復帰できるのかを考えてもらう作品にしたい」と話す。
今回の上演はフォーラム「『脱ひきこもり』その勇気、皆で支えよう」の一環で午後1時開演。山根寛・京都大大学院医学研究科教授による講演、教育関係者らによるパネルディスカッションもある。問い合わせは府青少年課(075・414・4304)。
1月28日朝刊
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