引きこもり：一歩の勇気　“脱ひきこもり”皆で支えよう−−中京でフォーラム　／京都

　◇山根・京大大学院教授が講演
　ひきこもりの問題について考えるフォーラム「『脱ひきこもり』その勇気、皆で支えよう」が３１日、中京区のウィングス京都であった。山根寛・京都大大学院医学研究科教授が「ひきこもり〜一歩の勇気〜」と題して講演し、当事者や家族、民間支援団体など約２００人が聴き入った。
　ひきこもりの若者が増加するなか、社会全体で支援できるネットワークを目的に、府と府青少年育成協会が主催した。
　山根教授は講演で「ひきこもりを当事者ではなく、時代の問題としてとらえる必要がある」と指摘。「実力主義の社会では自分の行為の結果しか評価されない。しかし個が問われすぎると、人と人とのつながりはないがしろにされてしまう。ひきこもりの背景にあるのはそうした孤独感だ」と説明し「何より必要なのは見捨てられないと思える居場所だ」と訴えた。
　当事者の男性（３８）が「勇気を持って一歩踏み出そうとしても、３５歳を過ぎてもひきこもりだと社会は人間として相手にしてくれない」と指摘すると、山根教授は「ひきこもりが長引くと社会との接点が失われる。周囲の人は長引く前に何がしたいのか、何が嫌なのか遠慮せずに真剣に話し合ってほしい」と話した。
　講演の前には、フリースクール「みらいの会」のひきこもり経験者らが劇「折り紙気分」を演じた。入院した先生に見舞いの折り鶴を折るうち、クラスメートの不登校の理由を推測し合い、不登校を自分たちの問題としてとらえ始める様子を表現していた。【谷田朋美】

２月１日朝刊