ここから本文エリア 12万都市は/東近江市長選を前に(下)2009年02月07日
【2市立病院/地域医療描けぬ青写真/経営統合検討先送りに】 昨年11月、東近江市内で、医療関係者や市議らでつくる「市立病院等整備委員会」が会合を開いた。主要議題は3年前の編入合併で、旧能登川町と旧蒲生町から引き継いだ市立能登川と市立蒲生の2病院の経営統合問題だった。 編入合併1年目の06年度、2病院は計約2億900万円の赤字を計上。翌07年度も、合わせて3億6900万円の赤字を出し、累積赤字は合計23億円に及ぶ。 その主な原因は全国の自治体と同様、医師不足にある。05年度に2病院で計27人いた常勤医師は現在15人。整形外科医はゼロだ。入院・通院患者が減り、かつて85%前後あった病床利用率も、07年度は能登川で62%、蒲生が49%にまで落ち込んでいる。 この日は4回目の委員会だったが、当面2病院を現状のまま存続させる形で中間報告がまとめられた。その理由として、報告書は「めまぐるしく変化する医療情勢や医師確保の見通しが不透明な中での長期的な策定は困難な状況にある」とした。こうして委員会事務局の市側が提案した経営統合問題は、先送りとなった。 市立2病院とともに、湖東地域の地域医療の中核を担う同市の国立病院機構滋賀病院。常勤医師は一時、38人を数えたが、15人にまで減少。救急患者の受け入れも困難な状況に陥っていた。 こうしたなか、滋賀医科大(大津市)は昨年12月、同病院に神経内科や循環器内科などの医師4人を派遣する、と発表した。地域医療への連携を目指す大学側の狙いがあるとみられる。こうした動きを市の地域医療担当者は「少し明るさが見えて来た」と歓迎する。 委員で市病院事業管理者の中條忍・市立能登川病院院長はいう。「医療崩壊が進んでいる状況の中で、整備計画の先送りは仕方ない。ただ、地域医療は守らなければならない。そのためにも、常勤医師の確保と経営改善に努力していきたい」
マイタウン滋賀
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