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【社会】

「孤独死」10年間で2.5倍 岐阜県で増加

2009年2月8日 16時02分

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 独り暮らしの人が病気などで倒れ、誰にもみとられずに自宅で死亡する「孤独死」の県内の件数が、2007年までの10年間で2・5倍に増加していることが分かった。特に高齢者の増加が顕著で、県は「高齢化率を考えると、今後増加する可能性は高い」とするが、行政の対応は遅れている。

 県警の検視資料に基づき県将来構想研究会が作成した資料によると、孤独死の総数は1998年の128件から、2007年には320件に増加。このうち65歳以上の高齢者は81件から242件と、約3倍に増加し、割合も75・6%を占めた。地域別では西濃地区と岐阜地区が多かった。

 岐阜市の三田洞団地では、08年8月に80代の女性と60代の男性が、それぞれ死後数日と数週間たった状態で発見されるなど、孤独死は特に近所付き合いが乏しい都市部で深刻化している。

 同団地や岐阜市の大洞団地、多治見市のホワイトタウンなどは、いずれも昭和30−50年代に造成された。子どもはほとんど同居せず入居者の高齢化が一斉に進んでおり、今後5−10年でこうした事例はかなり増えると見る関係者は多い。

 防止策として、飛騨市では04年から、郵便局の協力で75歳以上の独居高齢者に週2回往復はがきを送り、返信してもらうことで安否を確認する方法を取っている。ただ、行政が積極的に対策に乗り出す例はまだ少なく、多くの市町村では民間の活動団体を支援するのにとどまるのが現状だ。

 一方で、民間の動きは各地で活発化している。関市では、旧武儀町エリアの福祉サービスを行う特定非営利活動法人(NPO法人)「日本平成村」が、高齢者や障がい者など公共交通機関の利用が困難な市民を対象にした運送サービス「福祉有償運送」を実施。自治体の認可を受けて高齢者の通院や、買い物の足代わりとしての役割を請け負っている。

 料金は通常のタクシーの半額以下。09年1月現在、175人が登録している。自宅から約15キロ離れた病院で透析治療を行うため、週3回利用している土屋千代さん(86)は「みんなの助けで生かしてもらっている。ありがたい」と話す。

 高齢者福祉に詳しい中部学院大短期大学部の飯尾良英教授は「家族の結びつきが弱くなっている今、自治会などの住民組織は行政の下部組織としてではなく、さまざまな問題に取り組む主体的な組織への転換が求められている」と話す。

(中日新聞)

 

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