今回の思いもかけない突然の出来事に深く失望し、強く憤りを覚えるものであります。
先日から報道されている通り、北方4島の住民に医薬品などを提供する「人道支援物資供与事業」で国後島に向かった日本の訪問団が、ロシア国境警備当局から出入国カードの提出を求められ、それを提出すると北方4島がロシア領と認めることにつながるとし、交渉を重ねましたが、最終的には訪問を断念するといった事態が発生しております。このロシア側の一方的な措置に対し、民間外交の一翼を担ってきた(社)日本青年会議所として大変遺憾に思います。
現在日本政府はロシア側からの打診を受け2月中旬に日露首脳会談に応じる姿勢を示しております。日本の首相としてサハリン訪問は初めてであり、北方領土の管轄をサハリン州がおこなっていることなどから北方領土問題解決に向けての対話がなされるものと期待していた矢先の出来事でありました。今回の一件を機に、両国首脳会談で日本国の立ち位置を明確にし、国益に寄与するしたたかな外交戦略を持って会談に臨んでいただくことを政府に強く要望いたします。
我が国とロシア連邦とは重要な隣国でありながら北方領土問題が未解決であるがゆえに未だ平和条約が締結されておりません。しかし我が国を取り巻く経済的、政治的環境から判断すればロシアとの正常な関係は速やかに構築されるべきものであります。このようなことから(社)日本青年会議所では領土問題解決に向け、関係諸団体等との連携を図り、民間外交の立場から相互理解をより深めるため、日本全国各地より選抜された大学生をロシアに派遣し、学生たちが自ら手がけた交流プログラムを実施し、民間レベルでの外交活動を続けることにより将来に亘る友好関係を築きあげることを目的に交流事業を企画・実施しております。また同じく民間外交の見地から北方4島交流訪問(ビザなし交流)にも毎年参加し、ロシア住民との相互理解と交流を温めてまいりました。今回の件が長年続いてきた民間外交に影響を及ぼすようなことがないことを心から願います。
いままさに民間外交という重責を担う我々が、一人の国民として領土・領海問題に関する正しい知識を持ち正論を主張していかなければなりません。その為にも北方領土問題を初めとする領土・領海問題について、他国から主権侵害を受けている現状を憂い、国民世論を喚起するためにも、2月7日「北方領土の日」より全国47ブロック協議会と連携を図り、全国一斉100万人署名運動を推進して参ります。さらには諸外国との真の信頼関係を構築するためにも、国益に基づいたしたたかな外交戦略の早期確立の必要性を政府にも訴えかけていきます。今回の一件を踏まえ、多くの国民の皆様と共に我が国日本が置かれている現状を知るとともに、志を一つにし、英知と勇気と情熱を持って問題解決に向けて取り組んで参りましょう。
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