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【コラム】韓国の死刑制度の行方(下)

 この日の執行を最後に、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権下では死刑の執行が行われることはなかった。国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルは昨年から、韓国を「実質的な死刑廃止国」に分類している。だが偶然なのか、韓国ではこの11年間に殺人犯が32%も増えた。法務部によると、死刑が執行されていた1994年から97年までの4年間には、年平均で607人が殺人罪で起訴されたが、執行を中止した1998年から2007年までの10年間には、年平均で800人が殺人罪で起訴されており、その数は32%も増えたというわけだ。アムネスティ・インターナショナルによると、死刑制度を廃止したり、執行を長期間にわたって中止し、「実質的な死刑廃止国」に分類された国は129カ国ある一方で、62カ国が死刑制度を維持しているという。お隣の日本では、昨年1年間に18人の死刑囚に対し刑を執行したのに続き、先月29日にも4人の死刑囚に対し刑が執行された。また、米国や中国では随時死刑が執行されている。

 だが、韓国で現在、死刑が確定し収監されている死刑囚58人は、大部分が「人間の顔をした獣」同然であり、彼らの手によって命を奪われた被害者は数百人に達する。その家族や友人、報道に接した国民のことを思えば、否定的な影響はとてつもなく大きい。

 死刑制度の問題は、国民感情や法哲学、宗教、人権、文化といったさまざまな問題が複雑に絡み合う問題だ。今回の京畿道女性連続殺人事件をきっかけに、死刑制度が再び論議を呼んでいるが、これが以前のユ・ヨンチョル、チョン・ナムギュ両死刑囚の事件のときのように、一過性の話題で終わらないことを願いたい。

李恒洙(イ・ハンス)記者(香港特派員)

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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