6日の臨時阿久根市議会で竹原信一市長の不信任決議案が可決され、同市長は10日に市議会を解散する意向を表明した。議会傍聴席と別室のテレビモニターなどで傍聴した約70人の市民は、昨年9月の竹原市長就任直後から続く市長と議会の対立劇の行方を半ばあきれた表情で見つめた。
不信任案可決が予期されていたためか、議場も傍聴席も淡々とした雰囲気。拍手や歓声はなかった。市長に理解を示していた市議3人も賛成に回り、全会一致。その1人の山田勝市議は「不信任に値するとは思わないが、解散で市議会を早く正常化するために賛成した」と説明した。
傍聴席の反応は割れた。昨年8月の市長選で竹原市長に投票したという浜崎幸平さん(81)は「議員は報酬を下げられたくないから抵抗している。市議選では新しい若い人が出てきてほしい」と市長支持。逆に元市職員の男性(72)は「不信任は当然。改革は必要だが、急激で市民はついていけない」と市長を批判した。
ただ、市長と反市長派市議が繰り広げる泥仕合を苦々しく見つめる市民も多い。初めて議会傍聴に訪れた別枝由井さん(67)は「市長も議会も互いの悪口ばかり。どっちもどっちの子どものけんか」と市長と議会の双方に批判の視線を向けた。
一方、竹原市長は「(不信任案が可決され)自分からやめるのはおかしい。なるべく続けて、やるべきことをするのが私の務め」と記者会見でも持論を展開。出直し市議選後に仮に失職しても市長選に立候補して、信を問う姿勢を示した。
背中を向け合ったまま、歩み寄ることなく弾けた市長と市議会の対立。混迷から市政を救い出す役割は、出直し市議選に臨む市民に預けられることになった。
=2009/02/07付 西日本新聞朝刊=