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フランク・ブラレイ、ピアノで読響と共演

2009年1月5日

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写真「いまやポップスの方が、クラシックに熱い視線を送っているように感じる」と語るフランク・ブラレイ

 ピアニストのフランク・ブラレイが今月来日、全国で読売日本交響楽団と共演する。ソロに室内楽と多彩な活動を繰り広げ、クラシックからジャズ、ラグタイムまで自在に泳ぐ姿は、もはや単なる「フランスのピアニスト」という枠を超えている。「聴衆の手を引き、僕の企画した旅へとアテンドする気持ち」で公演に臨むという。

 エリザベート王妃国際音楽コンクールで優勝した91年に初来日。音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」や「別府アルゲリッチ音楽祭」などで、日本の聴衆にはすっかりおなじみだ。

 昨秋にもリサイタルで来日。新譜「IMPRESSIONS」で色気たっぷりのドビュッシーやラベルを聴かせたばかりにもかかわらず、そのプログラムたるや、バッハのパルティータに始まり、ストラビンスキー、ガーシュイン、ヒンデミット、ドビュッシーの「前奏曲集」と続き、締めが「ラプソディー・イン・ブルー」。奔放にもほどがある、と言いたくもなるが、背景には緻密(ち・みつ)な「計画」も。

 「チャーリー・パーカーが心酔したストラビンスキーとガーシュインのジャズ音楽を並べると、それぞれの曲の個性がより映えると思って」

 68年生まれ。10代の頃はセックス・ピストルズにはまり、バンドでサックスやドラムを演奏、「クラシックなんか全く聴かなかった」。今もiPodでポップスを聴き、旅先ではMTVにチャンネルを合わせつつ、クラシックの行く末に思いを巡らせる。

 「クラシックは『沈黙』を聴くことができる唯一の音楽。どこにいってもBGMにあふれ、音から逃れることができない現代社会において、コンサートホールは究極の避難場所では」。現代の風潮と逆をいくからこそ、クラシックの価値が輝く、とも。

 ピアニストのエリック・ル・サージュと連弾のCDを出すなど、同世代の友人としばしば室内楽に戯れる。「僕が音楽をやれるのは友達がいるから。彼らと語り合い、音楽を感じていたい。音楽と人生はひと続きのものだから」

 柔軟な一方、商業的な要求からは距離を置き続ける。ノーと言ってチャンスを失ったこともあるが「音楽を楽しみ続けるため、この決意だけは曲げないと決めている」。

 読響とはモーツァルトのピアノ協奏曲第23番で共演する。晩年の傑作「クラリネット五重奏曲」と同じイ長調で、幸福感に満たされた響きが印象的だ。「生の香りと死の香り、両方を漂わせる不思議な作品。ジャズや現代音楽、あらゆるジャンルの要素を感じさせる曲だけに、僕にとっては大きなチャレンジ」(吉田純子)

     ◇

 指揮は上岡敏之。公演日程は23日、東京・サントリーホール▽26日、名古屋・愛知県芸術劇場▽27日、大阪・ザ・シンフォニーホール▽28日、北九州芸術劇場▽29日、アクロス福岡。電話03・3562・1550(読響)

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