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「損害賠償命令制度」東京で9日初公判 手続き迅速、手数料格安 (1/2ページ)
刑事事件の被害者や遺族が、民事裁判を起こさなくても刑事裁判の記録を利用して被告に賠償請求できる「損害賠償命令制度」を被害者が申し立てた傷害事件の初公判が9日、東京地裁(藤井俊郎裁判長)で開かれる。昨年12月の制度導入後、同制度の適用が明らかになったのは広島地裁に続いて2例目、東京地裁では初めてとなる。被害者側は「賠償額確定の手続きが迅速化し、民事裁判を起こすための事務的な負担も軽減される」と期待を寄せている。
(小田博士)
民事裁判より格安
被害者側が被告に賠償を請求したい場合、従来は民事裁判を起こすしかなかった。被害者側が、刑事裁判での記録を写したりして一から訴状を作成する必要があり、判決が確定するまで時間もかかった。犯罪被害者支援の意識が高まるなか、負担を軽減しようと昨年12月、被害者が法廷で質問したり求刑に意見したりできる「被害者参加制度」と同時に導入された。
刑事裁判が結審するまでに申し立て、有罪判決が出た場合は、同じ裁判官がその日のうちに審理に入り、原則4回以内の審理で決定する。刑事裁判の証拠書類が引き継がれるため、民事裁判を起こすときのように、被害者側が証拠をそろえる必要もない。
被害者や被告から決定に異議がなければ、確定判決と同じ効力を持つ。異議が出た場合には、民事裁判に移行する。
申立手数料も格安だ。通常の民事裁判では2000万円の賠償請求をした場合、8万円かかるが、この制度を利用すれば請求額にかかわらず一律2000円で収まる。