ソマリア沖派兵を、「被害が出てからでは遅い」、「経済的被害が出ているから」と肯定する意見がある。
私は昨日コメントを書いてきたうすら馬鹿(削除済み、「ぶっ殺す」と書いてきたので、警察通報予定)とは違うので、日本の護衛艦が海外に行って侵略行為を行うなどとは思っていない。
しかし、私は法律を学んだものとしてだけではなく、法治国家の国民として、憲法を遵守することを国に求めたいだけなのである。
憲法9条をいまさら解説することはしない。明確に戦力の不保持と交戦権を否定している。
日本の自衛隊が存立する根拠としては、「自衛権は国際的に認められた権利」という論に基づいている。
憲法学においては、あそこまで明確に軍を否定した憲法9条がある以上、現在世界6位とも言われる軍備は明らかに憲法違反とするのが大勢である。
私もそう思う。
一方で、災害救難などで、自衛隊が活躍し、また、丸腰では不安だという国民の声の上に、自衛隊は存在している。
そこまでは理解している。
特に私は、何かと言うと(背景には軍事利権があるのだと思う)自衛隊を海外に出して武器を使わせたがる与党政治家たちの最大の被害者であり、不安を隠せないでいるのは、まさにその自衛隊員たちだと思うので、自衛隊員に同情する。
さて、ここでソマリア沖派兵に戻る。
海賊退治に行くぐらい。そう甘く考えては困る。戦闘行為のないインド洋での給油活動ですら、艦内での自殺者が2ケタに達しているという事実をどう受け止めるのか?
自衛隊を派遣すればよいという安易な発想は、憲法をないがしろにする考えであり、極めて危険である。自衛隊員たちにとっても迷惑であろう。
これは法律で考えると、自分が損をしそうだから、邪魔な連中を警察で立ち退きさせろ、ということを、相手の基本的人権を侵害して行うのと同じである。
憲法ではなく他の法律で考えると、あいつを殺したいから、刑法で殺人が禁じられているけど、そんなの関係ねぇ。という考えと同じなのである。
「やりたいこと」、「自分はそれでいいと思っていること」を、すべて法を無視してやって良いのなら、その逆は自らの身に降りかかるだろう。
今回のソマリア派兵は、そういった、法をないがしろにする行為の、「アリの一穴」なのである。
これを認める理屈に立てば、最近の例で言えば、シーシェパードが捕鯨の妨害をする。腐ったバターを含め、準暴力行為を働く。困るから取り締まってほしいと捕鯨団体が政府にいい、政府は、在外邦人と財産保護のために自衛隊の派遣を命じる。
これとまったく同じになる。法理とはそういうものだ。
さらにこれが拡大すると、アメリカが9.11以降やったように、テロ攻撃を受けた。その容疑者がある国にいるようだ。だからその国を丸ごと滅ぼしてしまえば、アメリカへのテロの脅威はなくなる。
これが、ブッシュの「テロとの戦い」の理屈である。
アメリカには憲法9条はない。国軍の最高指揮官は大統領である。だから大統領がテロとの戦いの名目でアフガニスタンを滅ぼすことを命じ、軍が遂行した。
今、ソマリア沖派兵に動こうとしている日本政府の動きは、実は法理としてはこれとまったく同じなのである。
憲法9条を持つ国として、それを安易に認めることは、許しがたいことであるはずなのである。
それを、ソマリア沖のことなど、ついこの前までは知らなかった連中が、派遣するべきだと叫ぶ様子は、いかにも法を知らず、憲法を知らず、現実を知らない、愚かものの発言と言わねばなるまい。
日本の今の自民党政府であっても、侵略戦争を全面的に行うとは私も思わない。あの政治家たちが求めているのは軍事利権であり、その拡大のための軍拡の口実である。しかし、それをそのまま認めて行くと中国やロシアがさらなる軍拡で応えるであろう。それを口実にまた軍拡をする。
そのようなかつて来た、愚かな道を繰り返さないために、憲法9条はあるのではなかったか。安易に9条をないがしろにすることは、いつ自分の人権や命を安易に奪われても良いということだと認めるという法理に気付かないのか?
愚かな発言をコメントして行った89という人物にもそこをよく考えてほしい。
海上保安庁は、国際的意味で軍ではない。警察であり、すでに実績もある。89は、平和主義者は云々というが、当時若かった私は、最初から、警察行為は海上保安庁と考えていた。シーレーン防衛という言葉で海軍力増強を図ろうという軍事利権政治家を批判はしていたが。
自らの首を絞めることになる、幼稚な理屈をこねまわす前に、法学概論の1冊でも読んでみたらどうだ。無駄だろうが。
何かあったみたいですね。復帰ありがとうございます。kojitakenさんのところの眠り猫さんのコメントも、もっともと思うものが多々ありました。志葉玲さんのイベントを企画するなんてスゴいですね。というか、もともとスゴい人だったのですね。
では、また。