(CNN) イタリアで17年近く昏睡状態にある女性が裁判で争った末に安楽死を認められ、栄養補給チューブを外すため北部ウディネの民間医院に転院した問題で、イタリア政府は6日、延命停止措置を阻止する緊急政令を閣議決定した。
中道右派政権を率いるベルルスコーニ首相は閣議後の会見で「まだ生きている彼女の命を救うためすべての措置を取る。妊娠だって可能だ」などと語った。政令は、延命停止に強く反発するバチカンや一部カトリック団体を意識したものとみられる。緊急政令を受け、議会が今後数週間内に同様の法案をまとめるとみられる。
この女性はエルアナ・エングラロさんで、20歳だった1992年、自動車事故で脳に回復不可能な損傷を負って昏睡状態に陥り、父のベッピーノさんが娘の尊厳死を求めて裁判を起こしていた。ベッピーノさんによると、エルアナさんは交通事故に遭う以前、意識不明になった友人を見舞い、もし自分に同じことが起きたらこんな状態で生かされたくないと話していたという。
イタリアでは法律で安楽死が禁じられているが、家族が治療を拒否する権利は認められている。ベッピーノさんはこれを根拠に、治療を拒否することによる安楽死は認められるべきだと主張。イタリアの最高裁は昨年11月、下級審の判断を支持し、治療打ち切りを認める判決を言い渡した。
しかし実際に栄養補給チューブを外してくれる病院探しは難航。当初複数の病院が受け入れる姿勢を示したが、厚生省の圧力を受けて引き下がった。最終的に、ウディネにある民間医院が受け入れることになり、エルアナさんは2日夜、これまで入院していたミラノ北部の病院を出て、救急車でウディネの医院に搬送された。
判決で定められた条件に従って約3日以内に栄養補給チューブを外した場合、エルアナさんは約20日で絶命するという。