十勝毎日新聞社ニュース
救急出動減少傾向だが… 搬送の半分が高齢者
2009年02月07日 13時39分
市消防署 5年ぶり5千件台
昨年1年間の帯広市消防署の救急出動件数(概数)は前年比6.0%減の5843件で、5年ぶりに6000件を下回った。搬送した人のうち65歳以上の高齢者は51.0%を占め、初めて50%を突破。出動件数は2006年をピークに減少傾向にあるが、搬送人員に高齢者が占める割合は年々増加傾向にある。
出動の内容別では多い方から(1)急病3576件(61.2%)(2)その他(転院搬送など)796件(13.6%)(3)一般負傷733件(12.5%)(4)交通450件(7.7%)(5)自損行為117件(2.0%)−の順だった。自損行為は06年から3年連続で3ケタ台で推移していて、運動競技事故(61件)や火災(54件)の約2倍。
搬送した人のうち高齢者は2723人で前年比75人(2.7%)減。しかし、全体に占める割合は同1.9ポイント増、06年(45.3%)と比べると5.7ポイント増え、市消防署は「出動件数は減っても高齢者の搬送は増えていくのでは」とみる。
搬送人員のけがの程度は、軽症が2874人で53.9%に上り、中等症は1576人(29.5%)、重症789人(14.8%)、死亡94人(1.8%)。軽症は前年と比べ8.7%(273人)の減で、搬送人員の減少幅(6.4%)を上回った。市消防署は「市民の間に救急車の適正利用が浸透してきている表れでは」と受け止め、軽症の救急搬送が半数を占める現状については「通報者に軽症かどうか判断するのは限界がある」と一定の理解を示す。
消防庁は09年度、都道府県や消防、医師会などと連携して救急相談に応じる窓口設置(救急安心センターモデル事業)事業に取り組む方針で、市消防署は「導入されればより効率的な救急活動が可能になるのでは」と期待している。
(吉良敦)