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協同組合 日本俳優連合
■日本俳優連合30年史■
本編 1996年〜2001年
東映動画と日本アニメの問題

テレビ放送用に製作されたアニメ作品をビデオに転用して販売、しかも二次利用料の支払いを拒否し続けてきた東映動画(現・東映ビデオ)の問題が、97年3月、ようやく解決しました。同社の作品製作のキャスティング事務を一手に引き受けていた青二プロダクションが「過去に遡って二次利用料を支払う」ことの応じ、日俳連がこれを了承したからです。

この問題は、日俳連が再三「ビデオ化し、販売したものについては日俳連、マネ協、音声連三者の取り決めによる出演規定に則って二次利用料を支払うべき」と要求したのに対し、東映側「出演料は全て俳優の出演時に支払い済みであり、追加料金の支払いはあり得ない」と主張して平行線をたどっていたものです。97年初頭には「東映がこのような態度をとり続けるのなら、同社の作品には日俳連の組合員は出演を辞退する」などとの強硬意見が出されるほど、日俳連・外画動画部会の中では緊迫した雰囲気が生まれたりもしましたが、青二プロの話し合いへの参加で事態は解決に向かったのでした。交渉に向けて精力的に取り組んだのは、理事の池水通洋氏でした。

解決に当たっての日俳連と青二プロとの合意内容は次のとおりです。
  1. 二次利用料の支払い対象作品は、1986(昭和61)年以降に製作され、ビデオ転用がなされたもの
  2. 1991(平成3)年の出演条件改定以前に製作された作品については、出演時ランクの30%を転用料率とする
  3. 改定以降製作された作品については、同40%を転用料率とする。ただし、ビデオ1巻を多数話で構成するときは時間割引は適用しない
  4. 日俳連は対象作品リスト、出演者名、支払金額を記した明細リストを受領する
  5. 今後、引き続き青二プロがキャスティング事務を行う作品については、青二プロが転用料を支払う
ところが、「東映問題が解決したら、それに従う」としていた日本アニメーションが、同社の作品に関する二次利用料支払いの約束を反故にしたことから、また、新たな問題が生じました。日本アニメも二次利用料の支払いを滞らせていたのです。日本アニメの音声製作に当たっている同社の事実上の子会社、音響映像システムによりますと「日本アニメは、アニメーション作品を映画の著作物と主張し、著作権法上、俳優(声優)の著作隣接権は除外されるとの認識から、二次利用料は支払う義務がないとの態度をとっており、音声製作に関する経費を音響映像側に支払ってくれない。音響映像は音声連に加盟しており、日俳連・マネ協・音声連間の出演条件規定に従うならば、二次利用料は支払わねばならないかもしれない。しかし、アニメ製作会社で事実上の親会社から経費の支払いがない以上、ない袖は振れない」とのことでした。

日俳連は、再三にわたって話し合い解決を求めましたが、相手方に誠意は感じられず、97年8月に至って、外画動画部会は、97年9月以降に収録の始まる日本アニメの作品「コジコジ」には、出演を辞退するとの方針を決定しました。

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