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11月15日(月)「ショー子さんの話」
恐ろしや恐ろしや。
もう8年くらい前。国立市谷保のある家へ家庭教師に行ったら,そこの母親にいきなり殴られた。
「この抜け作め!」
生徒は美少女だったけど,母親はおっかない感じ。俺が遅刻したのが気に入らないらしい。
「ごくつぶし,死ね!」
ほうきで背中をバシバシ殴られた。その夜、俺はその母親に肛門を犯されてしまったのだ。
「ひゃっほう! インテリを陵辱するのは最高だぜ!」
すげえ母親だ。
それでも生徒とはすぐに仲良くなった。彼女の名前はショー子さん(仮名)。彼女は明るくかわいらしい。驚くべきことに,彼女の兄は昔大量殺人を行って,今も刑務所に入っているということだった。しかし,そんなことは彼女を見ていても,全然わからない。
問題は彼女の母だった。母親は昔の事件があって以来,不安から創価学会に走り,今や無暗に怒鳴っているか,人に向かって法を説いているかのどっちかである。僕は最初の間「うじむし」だの「能なし」だのと罵られたが,それが過ぎると,熱心に宗教に誘われるようになった。あいにく僕は創価学会には興味がない。創価学会がダメだとかは毛頭思ってないが。個人の信仰の問題はスーパーで洗剤を買うのとはちょっと訳が違う。
「お母さんはいろいろあって,ちょっとおかしいの。我慢してね」
そんな彼女も努力の甲斐あって45くらいだった偏差値が1年後には53くらいに。都立府中高校へ無事合格。その後中央大学文学部へと進んだ。今でも彼女から手紙がやってくる。
「先生,彼氏ができたの」
彼女の母親からも手紙がやってくる。
「一緒に宗門に入って,ご奉仕をしましょう」
そういうわけで,僕はショー子さんに返事ができないでいる。