オリックスの宮古島キャンプに参加中の日米通算201勝投手・野茂英雄氏は、6日もテクニカル・アドバイザー(TA)としての業務を黙々とこなしたが、2日目にして早くも“異変”が…。
近鉄時代からの同僚、佐々木投手コーチは「瞬時に各投手のクセを見抜く」と、的確なアドバイスに大感謝だが、その一方で肝心の選手たちからは「あまり参考にならない…」との聞き捨てならない声もチラホラと出はじめた。
昨秋の高知キャンプから臨時コーチを務めている野茂TAは、今キャンプでも昼夜兼行のトルネード教室を開校中。伝家の宝刀フォークボールの握り方を投手陣に惜しげもなく伝授し、体験談まで披露している。
知名度は抜群なだけに、昨季新人王の小松などは「昨秋のキャンプでは生トルネード(投法)まで見せてもらえた。あれには感激した」。昨季10勝を挙げた金子も「野茂さんはテレビを通じてプレーを見てきたし、親近感がありますね」と、目を輝かす。
しかし、これらは偉大なスターを間近で見られたとのファン心理が多分に影響している発言で、「技術面をしっかり吸収して、投球の幅を広げてほしい」という大石監督の思惑とは若干のズレがあるようだ。
「野茂さんからフォークの握りを教えてもらったけど、このタマを投げる人間はそのような握りは誰でも知っているし、試してもいる。その中で、自分に最も適した握りを使う。はっきり言わせてもらえば、野茂流がすべて正解とはいえないでしょうね」(某投手)
首脳陣が口説いて招いたTAだけに、選手が声を大にして言える内容ではないが、宮古島来訪2日目にしてこういう声が出はじめたことは紛れもない事実だ。
「今後、高知での第2次キャンプなどで野茂の考え方がチーム内に浸透していくでしょう」と佐々木コーチは口にするが、昼夜問わず…の詰め込み方式は今の若手には抵抗があるのかも。ノモ効果が浸透するには日時を要しそうだ。
(編集委員・高塚広司)
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