外務省は6日、オランダ・ハーグにある国連の国際司法裁判所(ICJ)所長に小和田恒(おわだひさし)判事(76)が互選で選出されたと発表した。任期は同日から3年間で、日本人がICJ所長に就任するのは初めて。
ICJは国連憲章で1945年に設立が決まった。国連総会と安全保障理事会で選ばれた15人の裁判官(任期9年)が国際法に基づき、国家間の紛争の平和的解決を図る目的で活動している。
提訴は国家に限られ、08年8月にはグルジア政府がロシアによるグルジア人迫害の即時停止を求める仮保全措置を申請。96年には核兵器の違法性について「使用と威嚇は国際法の原則に一般的に反する」と判断しつつ、「極端な状況下での国家の自衛のための核使用・威嚇は合法か違法かの結論は出せない」と最終判断を回避した。
国際機関トップの日本人は現在、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の松浦晃一郎事務局長、国際エネルギー機関(IEA)の田中伸男事務局長がいる。
小和田氏は新潟県出身で外務事務次官や国連大使などを歴任。03年2月から元最高裁長官の田中耕太郎氏、東北大名誉教授の小田滋氏に続く日本人3人目のICJ判事。長女は皇太子妃雅子さま。
戦前の国際連盟時代、ICJの前身にあたる常設国際司法裁判所(PCIJ)では、外務省出身の安達峰一郎判事が1931年から3年間、所長を務めた。【川上克己】
毎日新聞 2009年2月7日 東京朝刊