大分県教委の汚職事件で、人事異動に絡み商品券20万円分を受け取ったとして収賄罪に問われた教育審議監、富松哲博被告(60)=休職中=が2007年度に、起訴された20万円分とは別に10人前後から計41万円分の商品券を受領していたことが分かった。6日に大分地裁で開かれた公判で、富松被告が検察側の質問で認めた。「あいさつ程度でもらった。誰からもらったかは言えない」とも述べた。
検察側は、この日、証拠採用された富松被告の手帳1ページ分を廷内のスクリーンに映した。そこには「20」「10」「7」など本人の手書きで商品券の受領を示す数字の書き込みが12あった。うち「20」について富松被告は、起訴事実である元県教委義務教育課参事矢野哲郎被告(53)=贈賄罪で公判中=からの商品券20万円分の受け取りを示すものだと認めた。
富松被告は、数字はすべて商品券の受領を示すことも認めた。残りの11の数字を足すと41になり、同被告が受領した商品券は計61万円分になる。
矢野被告から受け取った商品券について、富松被告は「金額がうわさで聞いていたよりも大きかった。感覚がまひしていた。倫理的には良くなかった」と述べた。
また検察側は、富松被告が矢野被告の逮捕後「自分自身の立件について」と題して作った、捜査への対応を記したとみられるメモを証拠として提出した。メモは「謝礼」と書いた文字を2本の線で消した横に「あいさつ」と書いてあった。
検察側の「商品券には謝礼の趣旨があったとの意味ではないか」との質問に、富松被告は「メモは知人に相談し作った。謝礼ではないという認識で消した」と答えた。
=2009/02/07付 西日本新聞朝刊=