ICPOも白旗?国際窃盗団「ピンクパンサー」の正体
2009/2/6 17:00中東クウェートの新聞「クウェートタイムズ」によると、窃盗団「ピンクパンサー」の実像が最初に明らかになったのは07年6月、モナコの宝石店の強盗現場に指紋を残したことに始まる。国際刑事警察機構(ICPO)の捜査官が、欧州各国の警察から取り寄せたファイルと照合、同一グループであることを特定し、偶然、同国内で交通事故を起こしたセルビア人(27)とボスニア人(31)メンバーの逮捕に成功した。
取り調べの結果、彼らは中核グループと、仕事内容によって“随意契約”する個人グループに別れ、その数およそ200人。旧ユーゴスラビア難民を中心に組織された、巨大宝石窃盗団と判明した。翌月、盗まれたダイヤモンドが映画「ピンクパンサー」のワンシーンと同様、メンバーの恋人が使用する化粧瓶の中から発見されたことを受け、ロンドン警視庁から派遣されているICPOの捜査員が窃盗団の名称を「ピンクパンサー」と“命名”したという。
犯行の大胆さは本家の映画に登場する泥棒も顔負けだ。05年には中東ドバイで180万ユーロ(約2億1000万円)相当を強奪したほか、計1120万ユーロ(約13億円)相当の強奪にも成功。日本でも04年3月、東京・銀座の高級宝石店から、総額約35億円の宝石を奪って逃走しており、全世界の被害額は10年間で1億1000万ユーロ(約128億円)超に達している。
事前準備も緻密かつ大胆で、狙った国に事前に滞在して地域に順応。地中海の高級保養地などでは運転手つき巨大リムジンを乗り回す一方、日本では「自転車に乗り公害防止のマスクを着けていた」(モナコ警察捜査官)。パスポートは、何らかの手段で協力者に取得させた本物を使用しているという。
犯行時は複数で来店し、店に激突してすべてのガラスや飾り棚を破壊し一気に強奪。「ピンクパンサー」命名後には、縛り上げた店員らにピンクパンサーが描かれたピンクのシャツを着せて逃走することもあるなど、とことん挑発しながら、昨年までに収監されたメンバーはわずか30人。銭形警部をあざ笑うルパン三世よろしく、中枢メンバーは世界各地を転々としているという。
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