福岡県太宰府市北谷の犬繁殖施設で、ゴールデンレトリバーやチワワ、ダックスフントなど23匹の犬の死骸(しがい)が放置されていたことが6日、分かった。敷地内には死んだ犬を焼いた跡があり、生きていた29匹もやせ細り、衰弱していた。筑紫野署は、動物愛護法違反(虐待)などの疑いがあるとして、同施設を実況見分し、運営していた同県宇美町の男性(49)から事情を聴いている。
ペットショップの店員が5日に施設を訪れ、死んでいる複数の犬を見つけ、ジャパンケネルクラブ福岡県連合会の上村光康会長に連絡、上村会長が現場を確認して同署などに通報した。
上村会長によると、多くの犬は、4棟ある建物内のケージの中で死んでいた。4匹の小型犬は1枚のポリ袋の中に詰め込まれていた。ケージの内部は、犬の排せつ物が積もった状態で、悪臭が立ち込めていた。死んでいた犬のケージに備え付けられていた水の容器はすべて空っぽで、上村会長は「大半が餓死のようだ」と話す。生きていた犬も目がくぼむなど、栄養失調の症状が目立ち、死んだ犬の体重は通常の半分以下だったという。
敷地内には犬を焼いた跡があり、骨がそのまま残されていた。
男性は西日本新聞の取材に対し「老衰などで死んだ犬を10匹ぐらい焼いた」と認め「1人だったので手が回らず、世話ができなかった」と話した。
男性は自宅の住所で動物取扱業の登録をしていたが、この施設の存在は県に届けていなかった。現場は山と田畑に囲まれ、近くに工場や倉庫が数棟あるが、民家はない。
=2009/02/07付 西日本新聞朝刊=