福岡市西区小戸3丁目で1月19日、市立内浜中学校1年の男子生徒(13)がマンションから飛び降り自殺した問題で、内浜中は6日、校内での調査の結果、自殺の原因は学校とは関係がないとする報告書を遺族に手渡した。
報告書は、学校が遺族から提出を求められていた。昨年6月と自殺の3日前に男子生徒の頭をげんこつでたたくなどしたとされる担任やほかの全教員と全生徒から、学校での指導や男子生徒の日頃の様子に関する情報を集めたという。A4判7ページにまとめた。
報告書の中で学校側は、担任が昨年6月、クラス内のいじめにかかわったのではないかと男子生徒を問い詰め、頭をたたいたり足をけったりしたことを「行き過ぎた指導だった」と認めた。一方で、自殺3日前に忘れ物をしたことで頭をげんこつで1回たたいたのは「軽度のものであり、体罰だったとは考えていない」とした。
そのうえで、教員や親しくしていた生徒十数人からの聞き取り調査の結果、自殺の前日まで「変わった様子はなかった」とし、「学校の指導や友人関係と今回の転落事故とのつながりは考えにくい状況にある」と結論づけた。
報告書は薄(すすき)公治校長が6日夕、母親に手渡した。薄校長はその後、学校で記者会見し「悩んでいるというサインを男子生徒が送っていたのではないかという気持ちでいっぱい」と苦渋の表情を浮かべる一方、「原因は学校にあるのではないと理解してもらいたい」と強調した。
市教委学校指導課は「報告書を出して終わりではない。亡くなった生徒のためにも、学校、保護者双方で情報を交換しつつ、真相の究明に努めていきたい」としている。
生徒の母親は6日、学校や家庭での生徒の様子を独自にまとめた資料を学校側に提出。同夜、会見した。母親は「学校とは関係ないとは断定できない」と指摘し、報告書について「何があったのかを知りたかったが、求めていた内容は書かれていない」と学校側を批判した。
さらに「息子が亡くなっている以上、自殺の原因は誰も断定できない。ただ、可能性を探ることはできる」と指摘。「同じような悲しいことを起こさないために対話を続け、事実を確かめ合うことが必要だ」と述べ、来週にも学校側と話し合いを持つ意向を示した。
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