Navigator | |
■ トップページ ■ 総合掲示板 ■ なのちゃっと ■ ぐーたら日記 ■ 心の息吹 ■ アンケート ■ とらハ系リンク |
トップページ > SS > 御神の剣士 > とらいあんぐるパニック 閑話 『似たり寄ったりな二人』 |
9月10日(水) 風芽丘学園 AM:8:16 「むっ」 朝、学校の下駄箱まで辿り着いたところで、俺、高町恭也はうめき声をあげた。 昨日の帰りには確かに下駄箱に挟んで置いた、俺の髪の毛が床に落ちているのだ。これは、下駄箱を第三者が開けた証拠である。 ……誰かが何かを入れたのかも知れない。だが、一体誰が何故その様な真似を……、 「どうかしましたか? 高町先輩」 俺が下駄箱のところで手をこまねいていると、後輩の相良君がやってきた。 「相良君か……実はな」 俺が事情を説明すると、相良君が神妙な顔つきになる。 「気づいて良かったですね。後のことは、俺に任せてください」 「どうするつもりなんだ?」 「こうします」 そして―― ドカァァァァァァァァァァァン!!! 早朝から風芽丘に、爆音が鳴り響くのであった。 とらいあんぐるパニック 閑話 『似たり寄ったりな二人』 「だああああああぁぁぁぁぁぁぁ! あんたはちったあ大人しくできんのかーーーー!!」 バシィ!! 千鳥さんの振るったハリセンが、いつものように小気味いい音を立てる。 「そう怒るな千鳥。いつものことだろう」 「だぁああああぁぁぁぁぁ! いつものことだから怒るんじゃない! いい加減爆破ばっかりするんじゃない!!」 下駄箱を爆破した事で職員室に呼び出された俺と相良君。それを引き取りにやってきた身元引受人の千鳥さんと忍の計四人は、ホームルームが始まる前までの短い時間、屋上に来ていた。 色々と突っ込みを受けるために……(笑) 「ところで恭也、なんか入ってたの?」 「ああ、こんなのが入ってた」 忍の言葉に、俺は爆破されて燃え尽き掛けている封筒を取り出した。 「中身は大丈夫なの?」 「開けて見ねば分からん」 ハートのシールで封がされている封筒を開き、中身の紙切れを取り出す。 紙切れも所々焼けていて、正確に文が読めない。 『あなたのこと――ました。今日の放課後、体育館の裏に――。大事な――』 なんとか読めた文はこの程度である。 「こ、これはまさか!?」 「そうです、高町先輩」 俺と相良君は顔を見合わせ、同時に口から言葉を放つ。 「「果たし状か!?」」 「「あんたらは…………」」 「やはりそうだったか。御神流も狙われていると言うことなのだな」 「そう言うことです。先日の不良が、仕返しでも考えているのかもしれない」 「「大馬鹿者かーーーーーーー!!!」」 バシィバシィ!! 俺と相良君は、忍と千鳥さんに激しい突っ込みを受けるのだった。 「んで、これはつまり、ラブレターと言いたい訳か」 「そうに決まってるでしょ。この丸っこい女の子の文字。ハート型のシール。これがラブレター以外の一体なんだって言うの?」 「果たしじょ……」 「……(ギロリ)」 無言で忍に睨み付けられ、言葉を打ち切る俺。 ただの冗談なのだが……、もう通じないらしい。 「それで恭也はどうするつもり? 行くの?」 「ちょっと待ってくれ」 行くべきか行かざるべきか、そう考えていると相良君が進言してきた。 「高町先輩、危険です! 罠の可能性もあります。個人を呼び出して、団体で待ち伏せする。その為に恋文などと言う偽装手段を用いた卑劣な行い、行けば死が待って……」 「あんたは話をややこしくするなーーー!」 バシィ!!! 「いい一撃だったぞ、千鳥……がく」 進言してきた相良君は、千鳥さんの一撃によって沈んだ。 場が静かになったので、俺はじっくりと考える。 まあ、罠の可能性もないわけではないが、そんなことを考えていたらキリがないだろう。 頑張ってラブレターを出してくれた女の子の気持ちを考えれば、断るにしろきちんと会って断る、これが道理だ。 「俺は……会ってみよう思う」 「そうなの?」 「ああ、このまますっぽかすのは人としてどうかと思ってな……どうかしたのか?」 忍がなにか、釈然としない表情をしていた。 「ん……何でもないよ、別に……」 「そうか。まあ、話は決まった。もうすぐ授業だし、ひとまず解散しよう。教室に戻るぞ、忍」 「うん」 「高町先輩、あたし達も戻ります。行くよソースケ」 「ラジャー!」 こうして俺達四人は屋上を後にした。 そして放課後―― 高町先輩の告白物語がどうなるのか? 興味があったあたし、千鳥かなめは覗きをすることにした。 趣味が悪いかもしれないが、ど〜しても興味があるのだから仕方ない。 ちなみに話をこれ以上捻らせるのもなんなので、宗助にはお帰り頂いた。 「「あ」」 バッタリと、体育館の裏へと向かう道で月村先輩と会う。 「月村先輩、奇遇ですね」 「そうだね〜」 あたし達はこれ以上何も言わなかった。 下手に口出しはすまい。 二人の覗きをしようと言う意思は同じなのだ。 あたし達は、体育館の裏が一望出来る場所、丁度良い場所に茂みがあったのでその中に隠れることにした。 待つことしばし。 (わぁ……) かなりの美少女が姿を現す。 腰まで届いた長い髪。真っ白い肌。月村先輩がため息を漏らすのも道理だ。 (綺麗な人ですね) (くっ、負けないんだから!) (頑張ってください! 月村先輩だって負けてませんよ) 月村先輩が高町先輩に好意を抱いているのは、短い付き合いしかないがあたしだって知っていた。 誰が見ても分かるのだ。 あたしの応援に、月村先輩は微笑する。 (ありがと……でも、それはこの告白が失敗しないと、私へのチャンスはなくなっちゃうんだけどねー) (そうですね、この告白がどうなるか、きちんと見届けないといけませんね) (うん) 「済みません、お待たせしました」 高町先輩が姿を現した。 木にもたれ掛かっていた美少女は最高の笑みを浮かべる。 「いえ、来たばかりです」 ドキドキドキドキ あたし達は、この後の展開に期待していた。 ドキドキドキドキ 心臓が激しく動悸する。 と――そこへ話をこじらせる天才(天災)が姿を現した。 「フリーズ!! 動くな!!」 銃を持った相良宗助である。 「え? えっ?」 「一体どうした相良君?」 「高町先輩、お待ちください。この女が武器を携帯していないか、調べさせてもらいます」 「ちょ! やめてくださ――」 宗助はいきなりその女生徒の身体検査をしようとし―― 「あんたは変態かーーーーー!」 バシィ!! 「う……」 茂みから飛び出したあたしの会心の一撃で、宗助は崩れ落ちる。 「最近の俺の役目は……もしかしてやられ役なのか……がくっ」 「大丈夫だった?」 「あ……はい」 いつの間にか茂みから出てきた月村先輩が、女生徒の安否を尋ねる。 「無事でなによりだったな」 「ええ……って、これはどういうことなんですか? 高町先輩」 我に返ったのだろう。高町先輩にラブレターを出した少女は、高町先輩に詰め寄る。 まあ、無理もない。 あたしに月村先輩、宗助、関係ない人間が三人も湧き出てきたのだ。 高町先輩、ごめん……。 私は心の中で謝っておく。 「どういうことと言われてもな……」 「む! 私だって怒りますよ! せっかく意を決して告白しようと思ったのに、みんなで見に来て……私を笑いものにでもするつもりだったんですか?」 「いや、そう言う訳じゃない。なくてだな……」 高町先輩はしどろもどろになる。 こういう状況下に陥ったことがないのだろう。 「先輩、はっきりとしてください!!」 「えっとだな……最初にこれだけは言っておく。まあ、告白してくれる気だったのは嬉しいが、俺はまだ付き合ったりするつもりはないんだ。別にやりたいことがあって、それどころではないのでな。それで今の状況だが……」 「ふええええええん、最低です! 言われなくなって分かります! つまり私が振られるのを、みんなに見せびらかして笑うつもりだったんですね、高町先輩の……馬鹿ーーーーーーー!!!!」 泣きながら名も知らぬ女生徒は、そう叫んで立ち去っていった。 場に残ったのは、朝と同じ面子である四人。 「恭也……」 ポンポンと月村先輩が高町先輩の肩を叩き、 「私達が周りにいたのが運の尽きよ」 はっきりと口にしてはいけないだろうな〜、って言葉を口にする。 高町先輩は呟いた。 「俺は……今の友人関係について、本気で考えなければならないかもしれないな」 と。 エピローグ 9月11日(木) 風芽丘学園 AM8:11 「む?」 下駄箱に来た俺は、昨日の帰りに挟んで置いた髪の毛が、またまた落ちていることに気が付いた。 さすがに二日連続で爆破するのは不味かろう……そう思った俺は、大人しく下駄箱を開けてみる。 「……」 俺は顔を顰めた。 そこにあったのは、十枚前後の封筒。 ぱっと封筒の表側など見た感じでは、ラブレターのようである。 なんでこんなにラブレターが? 「凄いね……。恭也がラブレターの相手ときちんと会ったことが、学校中に伝わったのかな?」 丁度通りかかった忍にそう言われ、俺は呻き声を上げる。 「うっ、そうか。だが、果たし状とか書かれている封筒も混じっているのだが……」 「恭也がモテモテなのが気にくわないんでしょうね。それでどうするの? 全員と会うの?」 「まあ、会うだけは会ってみようかと……」 ラブレターを受け取った人間として、それぐらいの事はしないとな。 「恭也! ファイトー!」 「ああ、頑張ってみるとするよ」 十枚前後の封筒をポケットに突っ込み、教室へと足を進めながら俺は考えていた。 果たし状の相手を一番最後にして、ストレス発散をしようと。 願わくば、なるべくしぶとい相手でありますように――
後書き とらいあんぐるパニック閑話をお届けします。 ……テッサが上手く動いてくれない_| ̄|○ と言うわけで第三話、ちょいと苦戦中です。 それ故、三話の後に入れようか? 二話の後に入れようか迷っていた閑話を、二話の後に入れてみました。 駄文ですが、楽しんで貰えれば幸いです。 それでは〜、次の作品でお会いしましょう〜 |
なのたんマンセー ■ トップページ ■ 総合掲示板 ■ なのちゃっと ■ なのたんマンセー別館 管理人 Fits (fits_1k@hotmail.com) |