名古屋市が先月19日に着工した名古屋城本丸御殿の復元工事について、名古屋市民オンブズマン(倉橋克実代表)が6日、失業者や生活保護受給者が急増している現在の経済情勢などを考慮し、一時凍結するよう求める松原武久市長宛ての申し入れ書を市に提出した。
市は総事業費約150億円のうち50億円を寄付でまかない、名古屋開府400年に当たる2010年秋に玄関の一部を公開し、17年度に完成させる予定。
申し入れ書では、寄付が39億円しか集まっていないなど資金計画を「ずさん」と指摘したうえ、「復元される御殿は原寸大のレプリカ(模造品)に過ぎない」と文化的価値についても疑問を呈している。また、契約の特約条項を挙げ、「着工した工事でも途中で止めることはできる」と主張している。
記者会見したオンブズマンの新海聡弁護士は「いま本当に必要な工事なのか、多くの市民に考えてほしい」と話した。
復元工事を巡っては、共産党系市民団体などが、景気が急激に悪化しているこのタイミングでの着工を「時期尚早」と批判している。【影山哲也】
毎日新聞 2009年2月6日 14時19分