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バーロ、クルーグマンを笑う

今回の金融危機で印象的なのは、ウェブが経済政策論争の場になっていることだ。バーロがWSJに「公共投資の乗数効果は1より小さく、税金の無駄づかいだ」と書いたのに対して、クルーグマンがブログで「バーロは『一般理論』も読んでないのか」と批判し、それにバーロがインタビューで答えている。彼のキャラクターにあわせて適当に訳すと・・・
A(The Atlantic) あなたは乗数効果に懐疑的なようですが・・・

B(Barro) そうだよ。税率を変えることには意味があるが、バラマキは意味がない。これを乗数効果などということばで一括するのはナンセンスだ。

A クルーグマンのブログは読みましたか?

B 読んだよ。くだらない個人攻撃だ。彼は以前「戦争で大恐慌から脱出した」といってたくせに、最近は「戦争はあまり効果がなく、ニューディールのほうが有効だった」という。彼は政治的意図にあわせて、事実を偽造するんだよ。それに彼は、マクロ経済学で何も仕事をしてない。私はマクロの専門家だ。

A 公共投資より減税のほうが効果があるという最近の実証結果は混乱するんですけど・・・

B 何も混乱することはないさ。減税には二つの効果があるんだよ。一つはいわゆる乗数効果(所得効果)で、これは大したことない。二つめは、減税によってインセンティブを変える効果だ。こっちのほうが所得効果よりはるかに大きいんだよ。

A オバマの財政政策にも減税が含まれていますが、どう評価しますか?

B あれは1930年代以来、最悪の法案だ。減税をインセンティブとしてではなく、金をばらまく昔ながらの政策として使っている。公共投資もゴミだから、オバマの政策はどっちも最悪だよ。
バーロは財政政策すべてを否定しているのではなく、法人税の減税によって投資を促進することを提案している。これは需要刺激策ではなく、人々のインセンティブを変えて潜在成長率を引き上げる構造改革だ。資源配分と所得分配の区別がつかない人々からは「資本家のもうけを増やす政策」と攻撃されるだろうが・・・

こうしたアメリカの論争に比べると、定額給付金や消費税の引き上げなど、ナンセンスな政策ばかり議論される日本の政策論争は救いがたい。経済学者も、論争のあまりのレベルの低さにほとんど発言しないが、「アゴラ」はオープンな議論の場なので、専門家の投稿をお待ちしています。
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