興味の有る方は、最初からどうぞ。
= 中国の暴動 =
この義和団の乱。
私は歴史的事実としてよりも、中国民衆の暴動の典型として大変興味があります。以前に 「江湖」について説明しましたが、そこでも似たような事が起こっていたのがおわかりになると思います。
まず、飢饉、災害、弾圧などによって統治体制からあふれ出した人々は、その行き先を宗教団体や秘密結社に求める傾向が強いという事を感じます。中国政府が、宗教的な集まりを認めないというのは、こうした中国社会の習性を理解しているからなのではないでしょうか。私たちが考える「宗教の自由」という観念とは、全く別の次元だと思えるのです。
そして、統治体制から人々があふれ出すときは、何らかの大きな社会変化が有ったときですので、受け入れ側の組織は、急激に膨張し、その組織自体も統制がとれなくなって行くようです。
その組織に集まった人々は、社会に失望している人たちであり、大きな不安を抱えているはずです。
その不安や失望が彼らを自暴自棄にし、ヤクザ的な集団に変質したり、暴徒化するのではないかと思えます。
こうして何らかのきっかけで暴徒化が始まると、もう手のつけようがありません。
暴徒化、ヤクザ化を防ぐには、こうなる手前の段階で手を打つ必要があるように思います。
暴動は、中心となる人物が出てきて行動を起こすのは間違いないようですが、その指導者も軍事や外交の専門家などではなく、その組織において人望が有る程度の基準で選ばれているようです。よって、そこには戦略も何もなく、その方針は二転三転しています。
義和団の乱においても、少数の組織が集まりだんだんと大きい組織に成っていったようですが、軍隊のような統制はとれていないようです。
その時々で、その方針が代わり、目の前で何か起こるとそれに群がり、情勢が見えなくなります。
中国の暴動の恐ろしさは、非常に本能的な行動であり、行動している本人達でさえどうなるのか、どうしたいのか解っていないと思える事です。だから、全く抑止力が働きません。
義和団の乱についても、結局本人達は破壊行為をしただけ。
数日で八カ国軍に鎮圧され、なんの処理もできず、清朝の李鴻章が交渉に当たっております。
無謀にも八カ国軍を相手にしたために、その辛丑条約では、非情とも思える賠償を請求されております。
その中には、いろいろな条項がありますが、賠償金は、4億5000万両(年利4パーセント、39年間の分割払い) にも上ります。当時清朝の年間予算が1億両足らずで有った事を考えるとこの時点で中国はすでに植民地化したといっても過言ではないでしょう。
私は、中国の共産党を支持している訳ではありませんし、いろいろな問題があるとも感じます。
しかし、西側諸国がいうような人権を今の中国に適用するのは、非常に危険であると感じます。
都市に住んでいる人、田舎に住んでいてもしっかりと教育をされている人たちが人権について政府に要求する気持ちも解ります。しかし、それは、中国のほんの一部の人たちであり、大部分の中国人民は、上記のような集団性を未だにもっていると思えすのです。
報道された最新の統計によれば、参加者数50人以上の大規模抗議デモは、
2005年:8万6000回
2006年:9万4000回
もあるそうです。
これは、中国政府に問題があることを示していると同時に、中国民衆がいかに暴動を起こしやすいかという事を示す数字でもあると思います。中国政府が、かなり強硬な手法で押さえつけているから起こるとも言えますが、強硬な押さえつけをしていてもこれだけの暴動が起こるとも考えられなくはありません。
そして、中国共産党の他に今、中国を統治できる政府がない以上、共産党を頼るしかなく、共産党がいい方向に進むように我々も協力していくしかないのでは無いかと、私は思ってしまいます。
日本人で、共産党政権をむやみに攻撃する人がいますが、もし中国で共産党がなくなり、中国が混乱を始め、中国各地で暴動が起こったら、その時日本は、もう他人ごとではいられなくなります。多々影響が日本にも及ぶでしょう。難民が日本へ大量に押し寄せ、犯罪者が町中にうようよとわき出る事も十分考えられるのです。
欧米人がいろいろな問題を中国に押しつけますが、中国でなにか起こっても彼らにとっては対岸の火事でしかありません。我々日本人は、好むと好まざるとに関わらず、中国という大国の影響を受けざるえない位置にいることを決して忘れてはいけないと思います。
by ana5
餃子事件、覚えてますか?