1日に投開票された北九州市議選(定数61)で、偽の投票用紙が7区のうち5区で計63枚見つかった。このうち小倉北区では正規の用紙による投票の総数が投票した人数より多く、市選管は正規の用紙を持ち帰って別の投票所で使うために偽の用紙を使った可能性があるとみている。福岡県警は2日、公職選挙法違反(詐偽投票及び投票偽造、増減罪)の疑いがあるとみて捜査を始めた。
市選管事務局によると、偽用紙はおおむね、正規の用紙とほぼ同じ大きさ。名前を書く枠や選挙名、選管の印はなく「明らかに偽物とわかる」という。
見つかった選挙区は、小倉南区が27枚と最も多く、小倉北区20枚、戸畑区12枚、八幡東区2枚、八幡西区2枚。ほとんどが無記入だったが、小倉北区では名前のようなものが書かれた紙が1枚あった。原則として無効票として処理された。投票されたのが投票日か期日前かは不明という。
一方で、投票した人数より投票の総数が多いトラブルが小倉北区で35票分、戸畑区で1票分あった。小倉北区の偽投票用紙は20枚で、その差の15票について市選管は「他の選挙区で持ち帰るなどした正規用紙が使われた可能性がある」とみている。市議選では7区とも同じ投票用紙を使っている。
小倉北区以外の偽用紙が見つかった選挙区では、投票した人数と投票総数がほとんど同じで、偽用紙の枚数とほぼ同数の投票用紙が持ち帰られたことになる。
投票所で投票箱に用紙を入れずに通りすぎようとする人には係員が注意しているという。市選管は「投票用紙を持ち帰って不自然に思われないよう、偽の用紙を使って投票したのではないか」とみている。
小倉北区(定数12)では、最下位当選者と次点との差は646票。市選管の担当者は「選挙は成立した」と話すが、今後については「再発防止策の検討も必要」という考えを示した。