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【正論】犯罪心理学者、聖学院大学客員教授・作田明 小児ポルノ規制で法改正を

2009.2.5 02:51
このニュースのトピックス子供の安全

 ≪子供への凶悪犯罪が急増≫

 子供を対象にした様々な犯罪が続発している。警察庁によると、13歳未満の子供が被害者となった刑法犯の認知件数は2002年以降減少傾向にあったが、2007年には、前年より1501件も増えている。

 子供が誘拐されたり殺害されるような凶悪犯罪は実際にはそう多いものではないが、ひとたび発生すると、子供をもつ人々を震撼(しんかん)させその対策が強く叫ばれるという現象が繰り返される。

 これは少子化の中で子供の安全に対する関心が高まっていることによるもので、おそらくは全世界的に共通した傾向である。

 子供に対する犯罪は、家族や身近な人々によって実行されることが非常に多い。実際には犯罪として告発されるまでに至らないとしても、子供たちへの心理的・身体的あるいは性的な虐待は、将来の長い人生に深刻な影響を与えることになる。犯罪心理学者のデイヴィッド・ジョーンズによれば、繰り返される性的虐待の結果として、神経症的な障害や素行の悪化が生じやすい。たとえば子供たちは不安や恐怖を感じ、睡眠障害や食欲異常の兆候を示したり、学校の授業に出席することや、ものごとに集中することが困難になってしまう。

 なかには、引きこもりの兆候を示し、罪の意識を感じたり、通常の性格より怒りっぽくなったり、うつの状態になることもある。また素行が悪化し、日々の出来事について嘘(うそ)をついたり、盗んだり、友人に対して攻撃的になったりする子供もいる。

 ≪10代の妊娠と性的虐待≫

 青年期の子供たちは、ドラッグ(薬物)に手を染めたり、自殺や家出をしたりするかもしれない。10代の妊娠や神経性無食欲症、あるいは売春と、性的虐待歴との間には関連性がある。

 小児性愛はアメリカ精神医学会の診断基準(DSM−IV−TR)によれば性嗜好(しこう)異常の一つであるが、小児性愛に基づく行為自体が犯罪となることが多いわけで、性嗜好異常の中でも社会的に最も危険なタイプである。

 小児性愛自体は以前から存在していた現象であり、とりわけ近年になってから増えてきたわけではない。DSM−IV−TRの基準によれば、13歳以下の小児が対象となる性的行為が該当することになるが、この種の行為が犯罪として広く認識され、厳しく罰せられるようになったのはむしろ最近のことである。

 従来、小児性愛には、もっぱら小児を好む真性小児性愛と、成人女性との交渉ができないために子供に手を出す代償性小児性愛との2種類があるとされていた。またDSM−IV−TRは、子供にのみ性的な魅力を感じる「純粋型」と、時には成人にも魅力を感じる「非純粋型」とを分類している。

 小児性愛者は、相手を自分自身の子供、継子、または親戚(しんせき)に限っている場合もあり、自分の家族以外の子供を犠牲にする場合もある。また、なかには、子供に接近するために子供の母親の信頼を得たり、魅力的な子供の母親と結婚したり、発展途上国から養子を連れてきたり、誘拐するケースもある。

 ≪注意深い自衛手段が重要≫

 欧米諸国では離婚率が高くまた再婚率も高いために日本よりも、義父などから小児性愛の被害にあう子供たちが多いと考えられている。

 重大事件を引き起こした小児性愛の犯罪者も、成人女性にも性的興味を抱いていた者が多いことが明らかとなっている。真性あるいは純粋型とは言えない。従って実際には多くの小児性愛者が代償性あるいは非純粋型と考えられるだろう。

 彼らの多くはもともと内向的性格で、成人あるいは同世代の女性との交流が困難であり、恋愛や結婚の機会にも恵まれていない。このために比較的緊張することなく容易に話しかけることのできる子供に対して接触しようとするのである。

 小児性愛者の更生は、多くは監視や懲罰によってではなく、社会経済的に安定した環境に恵まれることによって実現できると考えられている。就業や結婚などは彼らを良い方向に導くことになる。

 一方ではこうした犯罪から子供たちを守る上で注意深い自衛手段が必要である。欧米では小学生の登下校にも保護者が付き添っているのが普通であり、この点、日本でも社会的合意が必要であろう。

 また小児ポルノなどの規制はさらに進めなければならない。小児ポルノについては所持も含めて処罰するように法律を改める必要があるだろう。アニメや漫画なども含め小児性愛者をふやしたり刺激したりする可能性のある媒体を厳しく制限することが急務となっていると思われる。(さくた あきら)

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