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[米国]
マイクロソフトがスマートフォンにオープンソースOSを採用?

「Sidekick端末の開発に従事できるNetBSD開発者を探している」とのうわさ

(2009年02月05日)

 米国Microsoftが、昨年買収したモバイル・ソフトウェア/サービス・ベンダー、米国Dangerの開発するスマートフォンにオープンソースOSを採用するのではないかといううわさがブログ界を駆けめぐっている。

Dangerが開発し、米国T-Mobileが販売中の「Sidekick LX」。これまでDangerのモバイル・デバイスでは、独自のOSを採用してきた

 事の発端は昨年10月、同社のスマートフォン・デバイス「Danger Sidekick」の開発業務に従事できるNetBSDの開発者を捜している、というDangerの採用担当者からの問い合わせを、ある開発者がブログで公開したことだった。

 Dangerでは、これまでモバイル・デバイス向けに同社独自のOS/プラットフォームを提供してきた。このOSとアプリケーションは、Dangerのバックエンド・サーバと協調して動作し、ゲームやSNS、Webアクセス、電子メール、インスタント・メッセージングといった機能を提供する。

 一方、NetBSDはオープンソースのUNIX系OSで、サーバから携帯電話まで、さまざまなハードウェア・プラットフォーム上で動作する。オープンソース・ソフトウェアではあるが、比較的利用許諾条件の緩やかなライセンス(NetBSDライセンス)を採用しており、適切な著作権表示さえ行えばソースコードを自由に使うことができる。製品の購入者に対してソースコードを提供する義務はないし、開発者(例えばMicrosoft)がコードに手を加えても、それを他の開発者に公開する必要もないのだ。

 仮に、SidekickがNetBSDベースのデバイスになったとしても、ユーザーがそれに気づく可能性は低い。また、開発者が自由にアプリケーションを開発できるような環境になる可能性も低いと見られている。

 前出のブログを公開したNetBSD開発者、ギャレット・ダモーレ(Garrett D'Amore)氏は、「もしもMicrosoftが、(Linuxのような)オープンソース本来のライセンス条件が課されるプラットフォームを選ぶようなことがあれば、非常に革命的なことだ。そうなれば、開発者たちの関心も大いに高まるだろう」と期待を述べている。

 だが、ダモーレ氏によれば次のような懸念もあるという。「もし、NetBSDをコアとする製品の開発にMicrosoftが深く関与し、開発者に対して同社がNetBSD APIのアクセス手段を提供するようなことになったらショックだ。NetBSDベースの、まったくオープンではないシステムが誕生する危険性もある」(ダモーレ氏)。

 米国Current Analysisのアナリスト、アビ・グリーンガート(Avi Greengart)氏は、「Microsoftがオープンソースに移行するとしたら、同社のビジネス・モデルもかなり大きく変わることになる」と指摘する。Microsoftの主な収益源はソフトウェア販売であり、最近では一部にオープンソース受容の兆しも見られるものの、これまでオープンソース・コミュニティを敵視してきた長い歴史があるからだ。

 昨年2月、MicrosoftがDangerを買収した際には、Dangerがソフトウェアを開発しているデバイスのOSが「Windows Mobile」に変更されるのではないかという見方が出ていた。Windows Mobileと言えば“貧弱なユーザー・インタフェースを備えたビジネス・ツール”というイメージが一般的であり、ユーザーの間には動揺が広がっていた。Dangerがプラットフォームを提供するデバイスの中で最も人気のある「Sidekick」は、スライド式キーボードを備えており、特に“メール中毒”の若いユーザー層から支持されている。

Sidekickのファン・サイトでは、次に発売される「Sidekick 2009」がNetBSDベースのデバイスになるのではないかとのうわさが流れている(Hiptop3より)

 ダモーレ氏は、仮にSidekickがNetBSDに移行しても、そうしたユーザーの不安を解消することはできないと指摘する。困難な作業にはなるが、Windows MobileのインタフェースをNetBSDプラットフォームに組み込むこともできるからだ。

 だがダモーレ氏は、NetBSDの採用によってデバイスの使い勝手が向上する見込みもあると考えている。「NetBSDは、組み込みが容易で堅牢なOSである。メンテナンスがきちんと行われていて、安全性が高いうえ、コードも非常にコンパクトだ」(ダモーレ氏)。

 「NetBSDベースの新たなOSが開発されている」ことを裏付ける証拠はほかにもある、とブロガーたちは主張している。Microsoftが買収する以前に、DangerがNetBSDにソフトを移植しようとしていたことを示す2007年の電子メールがそれだ。

 なお、Dangerの広報担当者は、同社デバイスへのNetBSDの採用について明言を避けた。

(Nancy Gohring/IDG News Serviceシアトル支局)




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