人が集まって暮らせば、ごみが出る。これをどう処分するか。ごみにかかわる問題は文明の誕生と同時に始まったといえよう。
縄文時代の貝塚は、日本の歴史上初めて現れたごみ捨て場だ。近世の江戸の町では、百万人の住人が出す大量のごみの処理は大きな課題だった。埋め立てて新しい土地が造成されているほどだ。
近代に入っても処分方法は変わらず、基本的には埋め立てである。大きく変わったのは、機械炉が導入された高度成長期以後になる。増え続けるごみの処理に追いつかず、行政は対策に振り回されてきた。
ごみの減量化と資源化を促す家庭ごみ処理有料化が岡山市でスタートした。原則無料の方針から大きな転換だ。初日はおおむね黄色い指定袋が使われていたが、独身者の多い集合住宅などで指定ごみ袋を使わない違反が目立った。
ごみ袋についての周知が十分ではないようだ。コンビニなどのごみ箱に捨てる不心得者が増えないか心配だが、食品トレーやペットボトルなどをリサイクルに回そうとする動きは強まろう。
これで岡山県内では十九市町村がごみ処理を有料化した。かけがえのない環境を守っていくには、大量消費、大量廃棄の生活を改めねばならない。無駄を省き、リサイクルを徹底し、循環型社会への一歩にしたい。