飯塚市と嘉麻市はこれまで年5回までを無料としてきた妊婦健診を、4月から14回まで無料とする方針を固めた。厚生労働省は「出産までに14回程度の受診が望ましい」とするが、両市とも財政難のため、いったんは無料化の拡充を断念。ところが同じ生活圏の「嘉飯地区」にある桂川町が拡充を決めたことで方針を転換、追従する格好になった。関係者は「将来的な2市1町の合併を見越せば、生活の条件はそろえる方が望ましい」としている。
妊婦検診の費用は通常5000円程度(1回)。経済的な理由で未受診のまま病院に駆け込む「飛び込み出産」や、かかりつけ医がいないことを理由に医療機関が受け入れを拒む「たらい回し」が社会問題化している。
国も対策に乗り出し、2008年度第2次補正予算で拡充のための財政措置を盛り込んだが、2年間の時限措置であるなど課題も多く、財政難に直面する両市は当初、「拡充はできない」と判断。ところが桂川町の動向を受け、方針をあらためた。
年間約1200人が出産する飯塚市の試算では、08年度の予算計上額3800万円に対し、09年度は1億600万円を見込んでいる。
=2009/02/05付 西日本新聞朝刊=