2009年01月30日

大人の会話を続けることの意味

最近ジョコヴィッチのことを書くとかならずブログが騒々しくなるので、本当はあまり触れたくないのですが、彼の言動は私の関心の深いテーマに関わることが多いので、誤解(ジョコバッシング)を受けるのを覚悟で書いてきました。

私のブログでは、話題になった事件については、日本では紹介されないことが多いために、世界のメディアの反応も知っていただきたいという願いから、記事にする場合があります。

ですから今回の『フェデラーが直言』では、彼が決してジョコ批判をしているのではなくて、ジョコが今までとってきた「リタイアとMTOの取り方に疑問あり」の世論の背景があることを理解していただきたくて書きました。あのジョコヴィッチの「暴力事件に対するコメントなし」の記事でかなり反撃を受けたあとだけに、この記事を書くと、tennisnakamaがジョコバッシングをしているととられても仕方がないという危険な記事であることは百も承知の上でした。

「tennisnakamaの評判の方が大切」なのか、「フェデラーの真意とメディアの記事の背景を伝える方が大切」なのか。私は迷わず後者を選びました。

私はテニスを心から愛しているものですから、限られた選手だけを応援する気持にはなれないのです。彼らのそれぞれにすばらしい才能、技術、精神を見いだしたときは宝物を発見したような嬉しい気持になります。しかし「違うんじゃないの?」と思ったことは正直に言える自分でありたいと思います。ファンだから、自分の応援する選手には盲目的になることは賛同しかねないのです。

私が嫌悪するのは、手段を選ばず「勝つためにはアンフェアなこともやる」行為です。残念ながらこのような行為は子供のレベル、大人のクラブ対抗戦レベル、プロのレベルでも見られます。2年ほど前まで、テニスクラブ同士が行うリーグ戦のチームのキャプテンをしていましたが、毎週試合に出てトラブルの多さに辟易してしまったのです。

「勝つためには手段を選ばず」はラインコールだけに及ばず、人種問題まで波及してきます。あるとき、私のパートナーの日本人の英語をバカして大笑いした相手チームがありました。パートナーの言った「アウト」が「アウトって何? 英語をしゃべってよ。」という訳です。いわゆるOut のtがうまく言えず「ト」と言ったため、今のコールは正当なコールではないと言い出す始末。それからは毎回彼女がOutという度に、「分からない」とバカにします。これはほんの一例です。

私はこういう一本気な性分ですので、卑怯なやり方は見過ごすことはできず、大げんかになりました。あまりに腹が立つので、その後プロテストのアクションをおこしました。委員会の会議にかけ、この試合が不当な行為(わざと試合を妨害する)のもとで行われたとして、私たちの勝利となりましたが。このようなプロテストシステムが日本にあるのかどうか分かりませんが、これは民主的にトーナメントが運営される根本的なシステムだと思います。

4年ほどキャプテンをやっているうちに、汚いやり方で試合をする人間があまりにも多く、このままだとテニスが嫌いになりそうな危機感におそわれてチームを解散してしまいました。

ですからこのような経験のもとで、不正行為やルールの乱用(MTOメディカルタイムアウトやトイレットブレーク)には、許しがたい気持が人一倍強いのかもしれません。そういう背景があるものですから、特にMTOについては、自分の疲労回復のためのマッサージなどに使われるべきでないという意見は変わっておりません。

しかし、そのことを言う度に大変なコメントの攻撃に合います。「ルールを利用して何が悪い」という反対意見はウェルカムなのですが、どうも感情に走って関係のない個人攻撃が始まってしまうことがあります。

ジョコヴィッチの「なぜ記者会見で、ファンのおこした暴動事件についてNo violenceの一言がいえなかったか」という記事に対して、さまざまな意見をいただきました。私の記事はtennisnakama365とスポーツナビに掲載していますが、特にスポーツナビでの、攻撃は過激なものがあり、しばらく静観することにしました。そのときにイスラエルに住んでいらっしゃる読者の方から熱いコメントが入ってきました。彼(彼女)は戦争中という政治事情のまっただなかで、きっと私のNo violenceという主張に賛同せずにはおれなかったのだろうと思います。しかしそれ以降は私の手を離れてしまって、イスラエルの方との討論に発展し、事態は険悪になっていったのです。ここではとてもご紹介できないような罵倒と個人攻撃のコメントが寄せられてきたため(これらは削除しました)、収拾のつかない事態が予想されましたので、 tennisnakama365とスポーツナビで、とりあえずこの記事に関するコメントの締め切りを決断しました。

締め切りと言っているにも拘らず、コメントが寄せられましたが、その中に「お前は自作自演をしている」など訳の分からないコメントや「イスラエルに住んでいながら呑気にコメント書いてよいのか」など悪意に満ちた個人攻撃のコメントが寄せられました。真面目にコメントを残そうとされた方々には申し訳なかったのですが、あの時点でコメントを締め切らざるを得なかった状況をご理解していただければと願います。

自分と違った意見に出会うと感情に走り、理性的な会話ができない。悲しいことです。

私がブログを始めて一年になりますが、最初は「あなたはアメリカが好きな嫌らしい方ですね」とか「お前は非国民だ」とか罵られました。特に日本について書くとかならずバッシングに合います。これは錦織選手にも当てはまります。日本批判とニシコリ批判は一切できない風潮にあります。

US Openで圭君のトイレットブレークの取り方がおかしいと指摘した事がありました。(ウォームアップのあと、ショーツを履き替えに行ったり、帽子を忘れたので取りに行ったこと)私の意図は、US Openはジュニアのレベルではないのだから、そういったことは、汚い作戦のひとつと誤解されると、彼のことを思って書いた記事でした。しかし読者の猛反撃に合い「錦織選手の批判は許されぬ」の合唱でした。

そういった状況は、真に圭君のことを思った助言も受け付けつけない裸の王さまの世界があります。皮肉だったのは、このトイレットブレークの件について、松岡修造氏がAIG Openで圭君に注意したことです。その松岡氏の言葉に皆「そうですよね~」とあっさりOK。権威のある者には従うが一市民の声には耳を傾けない。あのときに私に猛反撃した彼らは、一体どこに行ってしまったのでしょうか?音沙汰なしの行方不明です。

私はコメントをいただく方々に心から感謝をしています。いそがしい毎日の中、記事を読みコメントを残すということは大変な時間とエネルギーを要します。本当にありがたい気持で一杯です。世界はいろんな意見があって当然ですし、それでないと皆一緒になってしまって気持悪い世界となってしまいます。

これからも「ちょっと変?」と疑問に思ったことはブログで書いていきたいと思っています。その私の意見に「その考えはおかしい。賛成できない。」と思われた方は遠慮なく意見を発表していただきたいと思います。しかし社会にはルールがあります。感情論に走らないルールにのっとった大人の会話が続けられればと願っております。

(追記)フェデラーvsロディック戦を見逃しましたので、のちほど録画をみてコメントしたいと思います。

by tennisnakama

posted by tennisnakama |01:18 | テニスの話 | コメント(10) | トラックバック(0)
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大人の会話を続けることの意味

これからも辛口なブログを楽しみにしております。

posted by 大山 | 2009-01-30 08:34

大人の会話を続けることの意味

いつも楽しみに読んでいます。
「猛反撃」については、本文をしっかり読まずに、
タイトルの一部に過敏に反応してヒステリックになる
方が多いのでは?と推察します。
私はtennisnakamaさんの記事は冷静で客観的である
と評価しています。

日本ではろくなスポーツ報道がないので、これからも
アメリカでの雰囲気が伝わる記事を期待しています。

posted by t3 | 2009-01-30 09:28

大人の会話を続けることの意味

>ジョコが今までとってきた「リタイアとMTOの取り方に疑問あり」の世論の背景があることを理解していただきたくて書きました。

ジョコビッチは別にリタイアが多いわけでもないよw
しかも、リタイアの取り方のどこに疑問があるのですか例えば今回は?
僕が見た限りボロボロでしたよ、試合も一方的でしたし、どこか疑問がありますか?
MTOは多いと思いますが、それはテニスファンなら知ってることですし、世論の背景を理解してほしいと言われても今更わざわざ取り上げることなんですかね?

しかもルールに認められてることですし、批判される筋合いの無い話ですよ
それを自分の草テニスの経験談を持ち出して、ルールの乱用は許せないって…
全然次元の違う話ですよね?今回の全豪は猛暑でロディックの試合はコート上は50℃だったらですし、前の試合の疲労もありますしね

錦織の一件はブログを読んでいないので分からないですが、全てが感情的な意見ではないでしょ?

>松岡修造氏がAIG Openで圭君に注意したことです。その松岡氏の言葉に皆「そうですよね~」とあっさりOK。権威のある者には従うが一市民の声には耳を傾けない。あのときに私に猛反撃した彼らは、一体どこに行ってしまったのでしょうか?音沙汰なしの行方不明です。

それと、この部分ですが
管理人のブログに、批判コメントを書いた人が松岡さんの言葉に皆納得したって根拠はなんですか?
何故、松岡氏の言葉に皆納得したといえるのですか?松岡さんに従ったと言う根拠が分からないです
考えが極端すぎませんか?

なかには、管理人の書くように松岡さんが言うなら納得という人もいるでしょうが
だけど、権威ある人と、一般市民では残念ですが発言の重みや説得力がは違ってくるのは当然かと思いますよ



posted by おーい | 2009-01-30 14:18

大人の会話を続けることの意味

私は日本に住んでいますが、以前よりはテニスのニュースが増えたとは言え、残念ながらコアな情報はほとんど入ってきません。
ですので、tennisnakamaが発信される情報はとても貴重なものです。

これからも忌憚のない記事を期待しております。

posted by nene | 2009-01-30 14:22

大人の会話を続けることの意味

上のコメントでtennisnakamaさんの「さん」が抜けておりました。
大変申し訳ありませんでした。

posted by nene | 2009-01-30 14:24

大人の会話を続けることの意味

私も長いことテニスを楽しんでまして、たまに草試合にも出たりしますが、ゲームの中でそんな辛いやり取り経験したことがありません。驚きました。少なくともアマのテニスは楽しくやらないと意味ないですよね。

posted by 絶対、王じゃ! | 2009-01-30 16:13

大人の会話を続けることの意味

情報をシェアしてくださっている点、ありがたく思いながら拝読しています。
2点、思ったことがありました。


まず「ジョコバッシング」の件。ジョコが暴力事件に対しコメントしなかったことは、立場上ふさわしくないと私も思います。

日本に生まれ育った日本人が想像するより、人種問題は遥かに複雑です。
テニス会場で起きた、人種問題がもとのトラブル。
ジョコはテニスのトッププロで、自らがセルビア人として苦労してきたはずです。自らと関わりの深い問題になぜ一言でも懸念を示せないのか、やはり疑問に思います。


昨年全豪の会場で観戦しました。ナイトセッションになれば若者のアルコールの量が増え、人種間のののしり合いで一触即発の場面も見ました。
これからもこの種の問題は、出てくると思います。


もう1点。
日本人は、「反論の仕方」に慣れていない傾向があるのではないでしょうか。
そのために、反論をしようとするとすぐ感情的になる。あるいは反論じたいを会話を成り立たせるためではなく、一方的にストレス解消の道具に使う。そんな気がします。


日本は「右へ倣え」の文化が強い場所だと思いますし、tennisnakamaさんのように海外に住んでいると余計にそれが感じられるのではないでしょうか。





posted by kei | 2009-01-30 22:45

大人の会話を続けることの意味

kei さん

日本人が右に倣えの文化だと思わないし、それがジョコビッチの一件と何か関係ありますか?
反論する人を感情的でストレス解消の道具とか決め付けてるのも理解できいないですね
ってかあのコメントを見て、そのような判断をするのが理解できないです
コメント読みましたが、感情的な人もいたけど、そうでない人が大半ですよ

>人種問題は複雑、感情的、反論の仕方に慣れてない
これは管理人さんのほうじゃないですかね?



posted by おーい | 2009-01-31 14:01

大人の会話を続けることの意味

私は海外(USAでは無いが)に長いテニスファンですが、管理人さんの意見は、身にしみてよく分かります。
人種問題は、悲しいけれど、どこの国にもあります。管理人さんと似たような経験談は、自分も含め幾つも知っています。

海外にいると、日本のTVの偏った報道ぶりには呆れを通り越して、国民の将来が心配になります。
サッカーのヒデのように、テニスのニシコリ君をアンタッチャブルにしようとするマスコミにもうんざりですね。

管理人さん、批判ばかりで建設的じゃない意見のアラシは削除してください ↑。

posted by ちがう | 2009-02-02 11:31

大人の会話を続けることの意味

建設的って意味をちゃんと理解して使ってますか?
Aという主張に対しての意見は賛同と否定の二つの結論しか存在しませんよ?
やけに「建設的」だとか「フェア」だとかのキーワードに拘る不特定多数の人はどういう結論を導き出せというんですかね?
当方は理解に苦しみますが。
建設的、すなわち議論を収束させる方法はたった一つ、管理人が「自ら」の口で説得力のある「言論」で黙らせればいいだけのこと。
他人任せじゃ黙るわけありませんよ。
ましてや竹で割ったように簡単に是非が問える話題でもないし。

posted by プル | 2009-02-02 17:38

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