■廉価版のタイプGは189万円!
09年ハイブリッド戦線の口火を切るのは「新型インサイト」だ。廉価版の「G」は200万円を大きく割る189円のプライスタグを下げ、最大のライバル、プリウスに挑む。
■5ナンバー・ボディサイズ
プリウス似と言われるエクステリアデザインの是非はさておき、ボディサイズは全長4390(−55)mm×全幅1695(−30)mm×全高1425(−65)mm、ホイールベース2550(−150)mmの5ナンバー枠内で、()内の現行型プリウス比較値はもちろん、さらに大型化する次期プリウスと比べると一回り以上のサイズ差がある。
プラットフォームはフィットベース。空力を重視したルーフ〜リアガラスの傾斜もあって後席の頭上はそれなりだが、リアハッチバックを活かしたラゲッジは5名乗車時でも最大400リッターと実用的で、ゴルフバッグなら3つを飲み込む。
■10・15モード燃費で30.0km/L
インサイトのIMAシステムはいわゆるパラレル式で(プリウスのTHSはシリーズ&パラレル)、1.3リッターユニット×CVTにモーターを組み合わせたもの。燃焼形式は一般的なオットーサイクル(プリウスはアトキンソンサイクル)だが、気筒全バルブを休止できるホンダ独自のVCM(バリアブル・シリンダー・マネージメント)機能をもつ。モーターのみでの発進は行わず、モーター単体での走行可能域は低速クルーズ時のみ。燃費は30.0km/L(10・15モード)/26.0km/L(JC08モード)と、現行型プリウスの燃費=35.5km/L(10・15)/29.6km/L(JC08)に肉薄する。
シビックハイブリッドと同形式のIMAシステムは、97%が刷新され、バッテリー出力も30%向上。とは言うものの、実はシビックからすでに全気筒休止で、燃費は31.0km/L(10・15)/25.8km/L(JC08)と、このインサイトとほぼ変わらないのは意外だ。低価格&大量生産を狙い、IMAの生産性やコンパクト化などに注力したということだろうか?
ただし、燃費への影響が大きなタイヤは、シビックハイブリッドが装着するような、極端な低燃費指向製品ではないという。サイズは15インチ。ちなみに、最上位モデルの「LS」は16インチで、燃費は28.0km/L(10・15モード)と低下する。
■ゲーム感覚のエコアシスト機能
FCX譲りとも言えるインパネは色の変化でエコ運転レベルを伝える。また、メーター内のディスプレイに、燃費をグラフでリアルタイム表示するエコドライブバーや、リーフ(葉)アイコンを使った燃費のスコア表示を行う。エコ度が上がるとリーフが増え、燃費ステージが上がると特別な月桂樹の王冠が表示されるなど、エコ情報をゲーム感覚で見せる趣向に注目だ。オプションのHDDインターナビはさらに細かなエコ情報を提供する。
■価格か、燃費か、それとも…
1999年に登場した初代インサイトは、燃費狙いの2シーター・エアロ・ハッチバックで実用的とは言えず、シビックハイブリッドも専用ボディと高度なHVシステムを持つプリウスの影ではいまひとつ存在感を発揮できなかった。
第二世代のインサイトは、新型プリウスより50万円近く安い価格(編集部想定)を武器に、国内外でハイブリッドの勢力図の塗り替えを狙った野心作と言える。一方、トヨタ陣営は5月の新型プリウス登場後も2代目プリウスを併売予定で、200万円に近い廉価グレードの設定も噂されている。また、翌々月にはレクサス版のハイブリッドセダンも登場予定と、ハイブリッド販売戦線は熾烈を極めそうだ。
新型インサイトの価格はG=189万円、L=205万円、LS=221万円。月販売目標台数は5000台となる。
写真:小林俊樹