皆様お忘れだろうが私は新聞奨学生である｡

毎日3時に起きて朝刊を配り､学校に行った後夕刊を配り､月末には集金をする｡


偉いのである｡
尊敬しろ｡



それでですね､今月は年末なのでいつもより早めに集金が始まる訳ですよ｡
もう一般家庭も殆ど終わってるんですけど｡


今日あった話を聞いて頂きたい｡

今月新規で入った新しい客の話です｡
まぁ仮に端本さんとしよう｡


一回目端本さんの家(というかﾏﾝｼｮﾝ)に行った時は普通に出て､お金がないので明日来てくれと言われたんです｡

んで次の日同じ時間帯に行ったんです｡



出ない｡



でも明らかに居る｡



判るもんです｡
というか､長年やってると判るようになるんです｡
なんというか特殊能力｡
新聞屋さんの特殊能力発動｡


次の日(今日の夕刊時)｡




出ない｡






でもやっぱり居る｡
(新聞屋特殊能力発動)

気配がする｡

中に人がいる気配がする｡



そしてさっき(8時頃)｡



いる｡

絶対いる｡

ﾋﾞﾝﾋﾞﾝ感じるぜぇ人の気配をよぉ……!!
俺のこの特殊能力が痛いほど感じてやがる!!


てゆーか中からかしゃかしゃ音がすんだよｫｫｫｫ!!


これは決定的だ｡


新聞屋は勝負に出る事を決意した｡






どんどんどん!!

｢端本さーん!!
東京新聞でーす!!｣

｢…………｣

どんどんどんどんどん!!!!
｢東京新聞でーーーす!!!!
集金にお伺いしましたぁーーーー!!!!｣

｢………………｣

ｲﾝﾀｰﾎﾝ連打｡
｢ﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝ｣

ｲﾝﾀｰﾎﾝ連打連打連打連打連打｡
｢ﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝ｣

(かれこれ5分程経過)
(くそ､中々しぶといぜ)
(隣室に聞こえるように大声で)
｢はしもとさああぁぁぁぁん!!!!!
とーきょーしんぶんでーーーーーす!!!!!｣

ｲﾝﾀｰﾎﾝ連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打｡
｢ﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝ｣






端本
｢………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………しつこいな(ﾎﾞｿﾘ)｣
























うおおおぉぉぉぉぉぉおおおおぉぉおおぉい!!!!!!



てめ､ふざけんな!!
しつこいのはてめぇの方だよ!!!
明らかにいない事を偽っている事がﾊﾞﾚてる事がﾊﾞﾚてる上で更にその発言ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ!!??
ちょ､ﾏｼﾞこのﾄﾞｱぶっ壊していい!?
新聞屋特殊能力の一つ『利き手の反対の腕だけ妙に筋肉ﾓﾘﾓﾘ』(※)でこのﾄﾞｱぶっ壊していい!!??
(※都営住宅など大きいﾏﾝｼｮﾝやｱﾊﾟｰﾄを配る時､一度にたくさんの新聞を利き手の反対で持ち利き手で配る｡
それを毎日やっていると筋肉の付き方に差が出る!!
そして利き手の反対の腕だけが妙に筋肉ﾓﾘﾓﾘになるのだ!!)
許されるよね!?
これ今のこの状態なら正当攻撃だよね!!??
はーーーしもとｵｵｵｵｫｫｫｫｫｵｵ!!!!!
覚悟せえええぇぇぇえぇえい!!!!!


























………借金取りの気持ちが痛いくらいわかった瞬間でした｡



あとね､同じﾏﾝｼｮﾝの古山田さん｡

火曜日の7時に集金に来いってさ｡

火曜日ね｡
あぁ25日?
12月25日ね｡
ねぇーーーー｡
まぁね!
別に何も予定ないから全然ｵｯｹｰすよ!!
家でどうせ漫画描いてるだけすから!!




















あのﾏﾝｼｮﾝ火事で全焼すればいいよ｡