慢性心不全患者に占めるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の人の割合は、国内の一般の人に比べ2倍以上に達していることが厚生労働省研究班の全国調査で確認された。班長の下川宏明東北大大学院教授が4日発表し、「メタボを放置すると心筋梗塞(こうそく)を発症し、慢性心不全へと移行する可能性が示唆された」と指摘した。
研究は心不全発症とメタボの相関関係を初めて科学的に裏付けるため06~08年度に実施。東北大、北海道大、順天堂大、山口大、国立循環器病センター(大阪府)、麻生飯塚病院(福岡県)の6機関で調べた。
研究結果によると、心筋梗塞や心筋症などを繰り返す慢性心不全患者3440人(平均68・9歳)のうち、男性は47%、女性は20%がメタボに該当。一般に占める割合(男性約20%、女性約7%)を大きく上回ったうえ、予備群患者4723人(平均67・5歳)の調査でも同割合になった。下川教授は「慢性心不全を防ぐためにはメタボ対策も重要」と分析している。【比嘉洋】
毎日新聞 2009年2月5日 東京朝刊