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「介護保険制度の課題」を提示―厚労省老人保健課長

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 今年4月の介護報酬改定が迫る中、全日本病院協会(会長=西澤寛俊・西岡病院理事長)は2月4日、「2009年度介護報酬改定説明会」を開いた。説明会ではまず、同協会の安藤高朗副会長があいさつ。続いて、厚生労働省の鈴木康裕老人保健課長が、「09年度介護報酬改定について」と題して講演した。鈴木課長は、社会保障をめぐる状況や、09年度介護報酬改定の意図について説明したほか、今後の介護保険制度の課題を示した。

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 安藤副会長は冒頭のあいさつで、09年度の介護報酬改定について、「久しぶりのプラス改定だった」と一定の評価を示した一方で、「地域によっては、『まだまだ厳しい』『もっと(加算などが)欲しい』という所もあると思う。こうしたことを、今後また訴えていきたい」などとした。

 続く講演で、鈴木課長はまず、「『低負担・低福祉』が叫ばれた時代から、『中負担・中福祉』を目指す方向に変わってきている」などと述べ、日本の社会保障をめぐる状況が、「潮目を迎えている」との認識を示した。また、介護を要する高齢者の増加が必至な中、「介護事業へのニーズは安定的な伸びを示すことが確実で、産業の少ない地方でもニーズがある。介護は次世代の公共事業になり得る。介護を『消費』ではなく『投資』と考えるべき」と指摘した。
 今回の介護報酬改定については、介護従事者の確保と処遇改善が最大のポイントだと指摘。「負担の大きな業務への評価」「専門性への評価、介護従事者の定着促進」「人件費の地域差への対応」の3点を軸に、評価の方向性を決めたと述べた。また、「基本点数の変更ではなく、主に加算で対応した。『薄くばらまく』のではなく、きちんとやっているところに加算するという方針だ」と語った。

 今後の介護保険制度の課題については、(1)社会保険である介護保険が担うべきサービスの在り方・範囲をどう考えるか(2)介護サービスの質をどう担保し、どのように評価すべきか(3)介護現場の実態を介護報酬にどう反映させるか(4)高齢化がさらに進展することに伴い、質の高い介護従事者をどのように確保するか―の4点を指摘=図表参照=。

 (1)では、「訪問介護における生活援助」の在り方と「補足給付」の在り方の2点を論点として提示。「補足給付の現状が、生活保護に近いのでは」などと述べ、それぞれ今後も介護保険の枠組みの中で行うのか考えるべきとした。また、生活援助へのニーズは、利用者の要介護度以上に、家族の状況によって左右されるのが現状だとして、「(制度の在り方について)議論が必要」と述べた。
 (2)では、まず「介護サービスの質を評価する際の指標」の在り方を論点として提示。「介護保険制度では、要介護度が高いほど点数が高くなる。悪い見方をすれば、『放っておいて悪くなれば、収入が増える』という、変なインセンティブが働く状況だ」と指摘した上で、「サービスの質をきちんと評価し、加算できるようにすべき」とした。さらに、「介護サービスの効果的かつ効率的な提供」が課題だと指摘。特養での夜間の看護師配置を例に挙げ、「毎日配置できる体制が整うのはいいことかもしれないが、それでは老健や介護療養病床との違いが分からない。今の制度では許されていないが、夜間も空いている訪問看護ステーションから定期的に看護師が来るなどのサービスも、今後考えていくべき」などと述べた。


更新:2009/02/05 18:52   キャリアブレイン

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