少年が被告となった強盗致死事件をテーマにした裁判員制度の模擬裁判が2~4日、東京地裁で開かれた。少年刑務所で懲役刑を科すか(刑事処分)、立ち直りの教育を重視して少年院に送るか(保護処分)が争われ、裁判員たちは、少年事件特有の事情などを考慮しながら議論した。
故意に人を死なせた16歳以上の少年は原則として家裁から逆送されて刑事裁判を受ける。ただ、保護処分が相当と判断されれば再び家裁に移送されるほか、プライバシー保護が重視されるなど、成人の裁判とは異なる。
18歳の少年がタクシー運転手を刺して死なせ、売上金を奪ったとされる事件。検察側は「残忍な犯行で遺族の処罰感情も強い」と無期懲役を求刑し、弁護側は「父親の暴力を受けた成育歴や発達障害が背景にある」と少年院送致を求めた。
評議では「人の命を奪ったことは重く、刑罰を科すべきだ」との意見が大勢を占めたが、量刑では無期懲役は重過ぎるとして懲役5年以上10年以下の不定期刑を選択した。
終了後、裁判員役の女性(34)は「何を基に判断していいか分からなくなった」と話した。【北村和巳、伊藤一郎】
毎日新聞 2009年2月5日 東京朝刊