ドイツになぞらえ小藩分立を評価。「大分学Ⅱ」を刊行した別府大学の辻野教授
大分の魅力を多面的に紹介する「大分学」で知られる別府大学の辻野功教授(70)が「大分学Ⅱ~大分は“ドイツの魅力”」(明石書店)を発刊した。三月末で同大を退職する辻野教授。大分への“愛情”をつづった本を「ぜひ、県民に読んでほしい」と呼び掛けている。
「大分学Ⅱ」は五部構成。大分の歴史と文化を体系的にとらえ直した。戦国時代に活躍した大友家の断絶後、数万石の大名などによって分割統治された小藩分立の歴史や各藩の様子などを詳しく紹介。
小藩分立の結果、まとまりの悪さが際立つと酷評される大分だが、辻野教授は連邦国家として、魅力あふれる地域でつくるドイツになぞらえて評価。「微妙に文化が異なる地域を周遊しなければ『大分県に行った』ことにはならない」と、熊本や鹿児島など大藩が統治した県にはない、“良さ”をアピール。川端康成や城山三郎などの作品に登場する地域をたどる周遊観光の必要性を強調する。
まとまりの悪さを逆手に取った「一村一品運動」や大分統合のシンボルとして「大分トリニータ」も取り上げた。トリニータの項目はサッカーワールドカップ(W杯)の大分招致運動にも深くかかわった、楢本譲司県生活環境部審議監が執筆した。
辻野教授は香川県出身。京都造形芸術大学、日本文理大学(大分市)の教授を経て、同大教授。日本文理大学時代に「大分学」の講義を始め、既に関連する本を四冊出している。
四十年以上にわたる学究生活に間もなく別れを告げるが、退職後も大分に住み、講演活動や県民向けの講座などを開くという。辻野教授は「これからも大分の魅力の語り部として頑張ります。大分に来て本当に良かった」と話している。
「大分学Ⅱ」はB6判・二九五ページで、税込み二千百円。県内の書店などで販売している。
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