尿失禁に悩む女性は多いが、減量が症状の緩和に有効であるとの研究結果が、米医学誌「New England Journal of Medicine」1月29日号に掲載された。
研究著者の米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)産科婦人科学准教授のLeslee Subak氏は「体重は尿失禁の発症および悪化の最も大きな危険因子(リスクファクター)である」と述べている。米国では1,300万人超の女性が尿失禁に悩んでいる。いくつかの観察研究から、過体重と尿失禁との間に関連があることが判明しており、別の研究では失禁の症状緩和に減量の有効性が示唆されている。
これらの知見を確認するために、Subak氏らは米ロードアイランドおよびアラバマ両州の女性338人を対象に研究を実施。被験者の平均年齢は53±11歳、BMI(ボディ・マス・インデックス)が25〜50で、7日間に少なくとも10回の尿失禁があった。米国ではBMI25以上が過体重(overweight)、30以上が肥満(obesity)とされている。
被験者の3分の2を食事、運動および行動療法などの治療介入群、残りの3分の1を対照群に無作為に割り付け、治療群は6カ月間、週1時間の集会に参加し、研究開始時から7〜9%減量できるよう設計された体系的治療を受けた。対照群には健康的な食事、運動に関する指導を4回にわたり実施したほか、全被験者に尿失禁改善に役立つ自己学習用冊子を配布した。
その結果、治療群は平均8%、17ポンド(約7.7kg)体重が減少したのに対し、対照群の体重減少は1.6%、3ポンド(約1.4kg)であった。6カ月後、週の尿失禁回数は治療群で47%、対照群で28%の減少がみられた。治療群では腹圧性尿失禁(笑い、せき、くしゃみなどの腹圧による失禁)も減少したが、切迫性尿失禁(急に尿意を感じる失禁)の改善はみられなかった。
「減量で腹圧が低下したことにより、膀胱への圧力も軽減した。これらの知見から、減量が尿失禁のファーストライン治療(a first-line treatment)になることが確認された」とSubak氏は述べている。
米ノースウエスタン記念病院(シカゴ)のJanet Tomezsko博士は「体重はわれわれの身体にさまざまな影響を及ぼす。余分な体重が多いほど、効果を得るには多くの減量が必要となるが、不可能なことではない。簡単なことではないが、減量、運動および骨盤の健康に対処するプログラムは今後さらに増えるだろう」と述べている。
原文
[2009年1月28日/HealthDay News]
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