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円天事件、会長ら22人を逮捕 組織的詐欺容疑

2009年2月5日15時2分

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写真捜査員と共に警視庁へ向かう波和二容疑者=5日午前8時36分、東京都新宿区弁天町、橋本弦撮影

 健康商品販売会社「エル・アンド・ジー(L&G)」(東京都新宿区、破産手続き中)が「円天」と称する疑似通貨を宣伝材料に多額の現金をだまし取ったとされる事件で、警視庁と宮城、福島県警の特別捜査本部は5日、会長の波和二(かず・つぎ)容疑者(75)=東京都新宿区弁天町=と幹部ら計22人を組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑いで逮捕した。

 特捜本部によると、被害は00年からの7年間に全国の約3万7千人から集めた約1260億円。一方、破産管財人らによると、同社は約2264億7千万円の出資金を集めた記録がある。特捜本部は、配当から新たな契約を結ばせた分が多額にのぼるとみている。

 逮捕されたのはほかに、営業担当社長寺嶋惇(64)、業務担当社長長野正良(60)の両容疑者ら。

 特捜本部によると、波会長らの逮捕容疑は、同社が資金繰りに行き詰まって「赤字状態」に陥り、出資金の元本や利息の返還能力がないにもかかわらず、「L&Gには数十億円の売り上げがある」などと偽り、06年7〜12月、46〜78歳の男女会員6人から計1億1800万円を集め、だまし取ったというもの。波会長は「組織を使って金を集めたのは間違いないが、だますつもりはなかった」と容疑を否認しているという。

 L&Gは87年に設立。01年には出資金集めを本格化させた。出資3年後に入会金元本の倍額を返還するとした「あかり価格」や、100万円を預ければ年利36%とうたった「協力金」名目で出資を募集した。

 特捜本部は、波会長が「赤字状態」になった後も、事業実態がないのに、円天を宣伝材料に資金集めを続けたことが詐欺に当たると判断した。

 同社は07年1月、配当を現金から円天に切り替えると決め、会員に一方的に通知した。

 特捜本部によると、同社が00年7月以降に集めた約1260億円の内訳は、あかり価格約207億円、協力金約845億円、現金を預けると同額のポイントを毎年保証するとうたった「円天受取保証金」が約6億円、その他が関連会社分も含め202億円。会員に返還されるべき元本は約423億円という。

     ◇

 L&G事件 L&Gは寝具など健康商品の販売業として87年創業。01年に会員を「株主社員」と呼び、配当を「社員への手当」とするなど独自の用語を使い始め、出資金集めを本格化させた。05年にネット上や、同社がホテルなどで主催するバザーで様々な商品と交換できる「円天」を導入。出資額に応じて付与し、年1回補填(ほ・てん)されるため「使っても減らないお金」と宣伝した。07年10月、家宅捜索を受けた。現在は営業していない。

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