午前3時半の女(1)
記者メモ・ここだけの話
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午前3時半の女(1)
「何時に帰ってくるんや」。夫からメールが携帯に届いたのが、1月14日深夜午前零時15分。
「会社。記事ができてない。まだかかる」。
悪戦苦闘しているのは、「週刊しんぶん京都民報」1月18日付号8面「人」欄。取り上げるのは、昨秋共産党入党したばかりの25歳、神田雄亮君。昨年末、70人の聴衆を集めて街頭演説会を開催し、「総理大臣になりたい」と演説した型破りの青年です。
原稿を見たデスクから「これじゃ、単なる経歴書。人が描けてないな」と言われて、3回目の書き直し。気づくと深夜。会社にいるのは、記者とデスクと宿直担当者ら3人だけ。宿直者は、奥の部屋で電気を消して就寝中です。好きでこんな時間までいる訳ないのに…。
午前2時1分。「民報社に泊まるのか?」再び夫からメール。
デスクからようやく、「意味が通るようになってきた」と言われてきたところ。しかし、根本的ダメだしの「一番肝心の、入党した動機、なんで総理大臣をめざすのかが、書き込まれていない」。
この日の昼には、新聞は印刷工程に。夫のメールどころじゃないと思いながらも、「泊まりません。帰ります」とメール。電話でやりとりしていたら、きっとケンカはまちがいなしです。
午前3時半。原稿がなんとかできあがった時間です。
その10分ほど前に、3度目のメールが夫から届いていましたが、返事する余裕はなし。
翌日の編集会議。編集長から命名されたのは、「午前3時半の女」。(辻井祐美子)
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